ペンギンたんけんたい~あやしいゆうれいせん(4歳~)

絵本

作:斉藤洋 絵:高畠純 出版:講談社

ペンギン探検隊が海を進んでいると、変わった生き物たちと出会いました。

どうやら先に進ませたくない様子。

それでも行くと、目の前に不気味な船が・・・。

あらすじ

夕焼けの海を進む一艘のカヌーがありました。

それはペンギン探検隊のカヌーです。

ペンギン探検隊は、隊長、副隊長、副副隊長と、7人の隊員で作られた探検隊。

探検隊が海を進んでいると、ランプをくわえた怪しいカモメが現れました。

カモメは「何者だ?」と聞いてきましたが、口を開いたものだから、ランプが海に落ちてしまいます。

慌てて足で拾うと、聞かれてもいないのに、幽霊船はいないから帰れと言ってきます。

ペンギン探検隊が構わず進むと、カモメも後からついてきました。

しばらく行くと、今度はオバケのお面をかぶったウミガメが話しかけてきました。

話しているうちに、首を伸ばしたのでお面が後ろにずれてしまいます。

ウミガメが「幽霊船を探しに来たんじゃないだろうな?」というので、ペンギン探検隊は、幽霊船を探しに来たわけではないけれど、幽霊船が見たくなってきました。

ということで、幽霊船を探しにカヌーは進みます。

その後ろに、カモメとウミガメもついてきました。

するとまた、何者かが海から飛び出して来ました。

なんと、牙の生えたイルカです。

イルカも「幽霊船を調べに来たんじゃないだろうな?」と聞いてきましたが、その拍子に口から牙が取れました。

どうやら細長い巻貝をつけていただけだったようです。

ペンギン探検隊は気にせずに、さらにカヌーを進めます。

カモメもウミガメもイルカも後に続きます。

こうして陽が沈み始めた頃、夕陽を背にして大きな怪しい船が現れました。

きっと幽霊船に違いありません。

ペンギン探検隊は恐れず近づいていきます。

すると、この幽霊船。

なぜかペンギン探検隊から逃げ出しました。

しかも、動きがなんだか変。

ペンギン探検隊は、この幽霊船の秘密を暴くことができるのでしょうか?

『ぺんぎんたんけんたい~あやしいゆうれいせん』の素敵なところ

  • 好奇心旺盛過ぎる探検隊と、怪しい生き物たちの笑えるやり取り
  • 探検隊のどんどん船を進めるリズミカルな決まり文句
  • 豪快過ぎる幽霊船の秘密

好奇心旺盛過ぎる探検隊と、怪しい生き物たちの笑えるやり取り

この絵本のなによりおもしろいところは、次々に出てくる怪しい生き物たちと、ペンギン探検隊とのやり取りでしょう。

怖そうに見えて、どこか間の抜けた怪しい生き物たち。

しゃべったら、くわえていたランプを落としたり、

しゃべるのに夢中になって首を伸ばしたらお面がずれたり、

怪しい見た目と裏腹に、みんなおちゃめ。

しかも、幽霊船に近づけたくないのに、みんな幽霊船のヒントを出してしまうのです。

ヒントをもらったら、行きたくなってしまうのが探検隊というものです。

隠そうとしても、怖がらせようとしても、すべて逆効果。

探検隊の好奇心に火をつけてしまいます。

この、しゃべることすべてが裏目に出て、探検隊がよりやる気になるやり取りの凸凹感が、この絵本のおもしろいところ。

子どもたちも、

「絶対幽霊船いるじゃん!」

「幽霊船の仲間なのかな?」

「もしかして幽霊!?」

と、みんな幽霊船がいること前提で話しているのでした。

探検隊のどんどん船を進めるリズミカルな決まり文句

また、この幽霊船までの道のりを、さらに楽しくしているのが繰り返しの決まり文句です。

怪しい生き物たちの話を聞いて、カヌーを進める探検隊。

でも、勝手に船を進めることはできません。

そこで、「全速前進!」と隊長が声を張り上げます。

すると、副隊長がうなずき、副副隊長が後ろを向いて「全速前進。よーそろー!」と隊員たちに伝えます。

こうして「えんやらどっこい。えんやらどっこい。カヌーは進むよ、どこまでも!」と先へ進んでいくのです。

この、隊長からの「全速前進!」からがワンセット。

怪しい生き物から話を聞くたび、同じ流れでカヌーを進めます。

そのたびに、子どもたちは楽しそうに大笑い。

「よーそろー!」

「えんやらどっこい!」

と、真似して言ったり、次に何が出てくるのかワクワクした顔をしていたり、場面の切り替わりに素敵なアクセントと楽しさを与えてくれている様でした。

豪快過ぎる幽霊船の秘密

さて、そんなこんなで幽霊船を見つけた探検隊。

驚きはしますが、怖がりはしません。

何の躊躇もなく近づいていきます。

すると、なぜか逃げる幽霊船。

しかも、よく見ると何かに引っ張られている様子。

こんな大きなものを引っ張ることができる者とは?

そこには、豪快過ぎる秘密が隠されていました。

引っ張っている者も規格外だし、引っ張っている理由もとても豪快。

まさか、海ではそんな遊びもあるなんて・・・。

と思わせてくれる、豪快だけれどとっても平和な秘密です。

さらには、秘密に近づき過ぎた探検隊にピンチも訪れます。

ですが、この打開策も、とっても平和。

どこかのほほんとしています。

この、幽霊船のおどろおどろしさとまったくにつかない、インディ・ジョーンズくらい豪快なのに、平和な秘密と打開策も、この絵本ならではの素敵なところだと思います。

二言まとめ

怪しい生き物たちが隠そうとするほどに、探検隊がやる気になっていくデコボコなやり取りがとてもおもしろい。

おどろおどろしい幽霊船の見た目と、その平和な秘密とのギャップがさらにおもしろい絵本です。

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