文:ブライアン・パッテン 絵:二コラ・ベイリー 訳:なるさわえりこ 出版:BL出版
どんなに大きな冒険も、はじめの一歩は意外と小さかったりする。
でも、その一歩がなかったら、大きな冒険をすることはなかっただろう。
そんな小さな一歩を踏み出したくなる、大きな冒険のお話です。
あらすじ
とても小さなネズミは、とても大きな冒険がしたいと思いました。
そこで、世界で一番大きな生き物を探しに行くことにしました。
しばらく行くと、カエルに出会いました。
世界で一番大きな生き物なのかと聞くと違うと言われました。
カエルはネズミの勇気に感心し、一緒に行くことにしました。
次にカワセミに会いました。
カワセミにも一番大きな生き物か聞きましたが、違うと言われます。
カワセミも世界で一番大きな生き物が何かを知りたいので、ついてくることになりました。
その後も、ネコ、カワウソ、アナグマ、イヌ、ヤギにトラと、色々な動物に会っていきますが、世界で一番大きな生き物は見つかりません。
そんな時、ホッキョクグマに出会います。
ホッキョクグマも一番大きな生き物ではありませんでしたが、一番大きな生き物を知っているというのです。
ホッキョクグマの案内のもと、みんなで世界一大きな生き物がいる場所に向かいます。
世界で一番大きな生き物とは一体何なのでしょう。
みんなはそれを見ることが出来るのでしょうか。
『いっしょにいってもいい?』の素敵なところ
- とても綺麗で写実的な絵
- わかりやすい繰り返しと、少しずつスケールが大きくなっていくワクワク感
- どんなに小さくても、大きな冒険が出来ると言う勇気をくれる
この絵本を見てまず思うことは、まるで写真のように綺麗で本物そっくりな絵でしょう。
まるで生きているような動物たちの絵を眺めているだけでも楽しめてしまいます。
動物だけでなく、道中で出会う湖や川辺、森などの自然も丁寧に描かれ、そこに生きる生き物たちも主役の動物たちと同じくらい生き生きと描かれています。
そんな動物たちの織り成す物語は、とてもワクワクするものです。
小さなネズミの小さな冒険は、新しい動物に出会うたび、少しずつ大きくスケールアップしていきます。
「一体次は何と会うんだろう」
「世界で一番大きな生き物ってなんだろう」
とページをめくるたびワクワクしたり、
「ゾウじゃない?」
「キリンだよ!」
など、世界で一番大きな生き物を予想する声があちこちから起こります。
また、ワクワクするだけでなく、繰り返しでとてもわかりやすく出来ています。
たくさんの場面があり話は長めなのですが、わかりやすい構成のおかげで、あまり気にならず最後まで読み進められてしまいます。
少し長めのお話を読んでみようと思った時にすごく読みやすいと思います。
そして、この絵本の一番素敵なところは、主人公が小さなネズミであることです。
そのネズミが世界規模の大きな冒険を成し遂げるということ。
その方法が大それたものではなく、地道に出会った動物に聞いてみるというのがまた素敵です。
小さな体でも、小さな一歩でも、それを積み重ねることで大きな冒険をすることが出来ると言うのは、とてもロマンに溢れ、勇気をもらえます。
小さなネズミから大きな勇気を教えてもらい、自分も冒険に出かけたくなる。
そんなお話です。
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