作:広瀬克也 出版:絵本館
仕事帰りのお父さん。
車を運転していたら、UFOから謎の光線が!
その光線を浴びるたび、乗り物がどんどん変化してしまう!?
あらすじ
とても気持ちがいい夜に、仕事帰りのお父さんが車を走らせています。
そこへUFOがフワフワ飛んできて、車に向かって光線を発射すると・・・。
なんと、車がスクーターになってしまった!
お父さんは驚いたけれど、受け入れてスクーターで走り続けた。
そこへまた光線が飛んできて・・・。
スクーターがチーターになった!
さらに光線が飛んできて・・・。
チーターがゾウに!
ゾウがカメに!
カメが恐竜に!
恐竜の背中に乗っているお父さんを、助け出しUFOに乗せてくれたのは宇宙人。
お父さんはびっくりして腰が抜けてしまった。
UFOに家まで送ってもらい、帰り着いたお父さんは、家族をドライブへ誘った。
家族が車に乗り込むと、お父さんはなにやらこそこそ。
お父さんはなにをこそこそやっているのでしょう?
『おとうさんびっくり』の素敵なところ
- ワクワクドキドキの「ピコピコッ」
- 意外とびっくりしないお父さん
- 家族でドライブの結末は・・・?
ワクワクドキドキの「ピコピコッ」
この絵本のなによりおもしろいところは、UFOからの光線で、乗り物がどんどん変わっていくところでしょう。
この変わる合図が、画面外から飛んでくる光線と「ピコピコッ」という音。
この音が聞こえるたび、次はなにになるんだろうと、ドキドキワクワクしてしまいます。
しかも、変わり方に法則性がないのもおもしろいところ。
機械から動物になったり、大きくなったり、小さくなったり、速くなったり、遅くなったり・・・。
まるでジェットコースターのように展開が変わっていきます。
子どもたちも、
チーターになって「バイクより速いかも!」
ゾウになって「家に入れないんじゃない!?」
カメになって「これじゃ家に着かないよ・・・」
と、緩急のある変化に、つっこむのが忙しそう。
このテンポよく「ピコピコッ」の合図で、どんどん変わっていく乗り物の変化が、この絵本のとても楽しいところです。
意外とびっくりしないお父さん
そんな乗り物に乗っているお父さんは、タイトルの通り「おとうさんびっくり」・・・は意外としません。
仕事で疲れているのか、一瞬驚きますが、すぐに平常心に戻ります。
スクーターの時なんか、「なんだか変だけど・・・これはこれでいいのかな?」と受け入れてしまうというまさかの展開。
動物になっても、ゾウになっても、そんなにびっくりしません。
子どもたちも、
「お父さんびっくりしてないよ」
「おとうさんびっくりって名前なのに」
と、タイトル負けに気付き始めます。
けれど、さすがにティラノサウルスにはびっくり。
これまでの表情が嘘のように、思いっきりびっくりしてくれます。
これには「お父さんビックリしてる!」と大盛り上がり。
しっかりタイトル回収してくれました。
しかも、ここから仕事の疲れも吹っ飛んだのか、楽しくなってくるお父さん。
この、中々びっくりしないお父さんが、思いきりびっくりして表情が大きく変わっていくところも、この絵本のとてもおもしろいところです。
家族でドライブの結末は・・・?
さて、こうして宇宙人とも仲良くなり、遊び心が芽生えてきたのか、あるドライブ計画を考えつきます。
宇宙人に協力してもらうドライブ計画。
家族を車に乗せたら出発です。
ですが、その結末はわかりません。
どんな乗り物になったのか?
どんなところへ行ったのか?
すべては語られずに終わります。
でも、それがとても素敵なところなのです。
「なにになったんだろう?」
「みんなで乗るから大きいものじゃない?」
「きっと恐竜だよ!」
と想像が膨らみます。
また、絵本を閉じると、家族のその後のヒントがあり、さらに想像力をかきたてられるのも素敵な工夫。
この、絵本とともにお父さんのドライブが終わった後に、新たな家族のドライブが想像の世界で始まるのも、この絵本のとてもおもしろいところです。
二言まとめ
お父さんの車が「ピコピコッ」という音とともに起こる、予想外の変化の繰り返しがおもしろすぎる。
仕事に疲れたお父さんが、遊び心を取り戻していく物語です。
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