おとうさんびっくり(3歳~)

絵本

作:広瀬克也 出版:絵本館

仕事帰りのお父さん。

車を運転していたら、UFOから謎の光線が!

その光線を浴びるたび、乗り物がどんどん変化してしまう!?

あらすじ

とても気持ちがいい夜に、仕事帰りのお父さんが車を走らせています。

そこへUFOがフワフワ飛んできて、車に向かって光線を発射すると・・・。

なんと、車がスクーターになってしまった!

お父さんは驚いたけれど、受け入れてスクーターで走り続けた。

そこへまた光線が飛んできて・・・。

スクーターがチーターになった!

さらに光線が飛んできて・・・。

チーターがゾウに!

ゾウがカメに!

カメが恐竜に!

恐竜の背中に乗っているお父さんを、助け出しUFOに乗せてくれたのは宇宙人。

お父さんはびっくりして腰が抜けてしまった。

UFOに家まで送ってもらい、帰り着いたお父さんは、家族をドライブへ誘った。

家族が車に乗り込むと、お父さんはなにやらこそこそ。

お父さんはなにをこそこそやっているのでしょう?

『おとうさんびっくり』の素敵なところ

  • ワクワクドキドキの「ピコピコッ」
  • 意外とびっくりしないお父さん
  • 家族でドライブの結末は・・・?

ワクワクドキドキの「ピコピコッ」

この絵本のなによりおもしろいところは、UFOからの光線で、乗り物がどんどん変わっていくところでしょう。

この変わる合図が、画面外から飛んでくる光線と「ピコピコッ」という音。

この音が聞こえるたび、次はなにになるんだろうと、ドキドキワクワクしてしまいます。

しかも、変わり方に法則性がないのもおもしろいところ。

機械から動物になったり、大きくなったり、小さくなったり、速くなったり、遅くなったり・・・。

まるでジェットコースターのように展開が変わっていきます。

子どもたちも、

チーターになって「バイクより速いかも!」

ゾウになって「家に入れないんじゃない!?」

カメになって「これじゃ家に着かないよ・・・」

と、緩急のある変化に、つっこむのが忙しそう。

このテンポよく「ピコピコッ」の合図で、どんどん変わっていく乗り物の変化が、この絵本のとても楽しいところです。

意外とびっくりしないお父さん

そんな乗り物に乗っているお父さんは、タイトルの通り「おとうさんびっくり」・・・は意外としません。

仕事で疲れているのか、一瞬驚きますが、すぐに平常心に戻ります。

スクーターの時なんか、「なんだか変だけど・・・これはこれでいいのかな?」と受け入れてしまうというまさかの展開。

動物になっても、ゾウになっても、そんなにびっくりしません。

子どもたちも、

「お父さんびっくりしてないよ」

「おとうさんびっくりって名前なのに」

と、タイトル負けに気付き始めます。

けれど、さすがにティラノサウルスにはびっくり。

これまでの表情が嘘のように、思いっきりびっくりしてくれます。

これには「お父さんビックリしてる!」と大盛り上がり。

しっかりタイトル回収してくれました。

しかも、ここから仕事の疲れも吹っ飛んだのか、楽しくなってくるお父さん。

この、中々びっくりしないお父さんが、思いきりびっくりして表情が大きく変わっていくところも、この絵本のとてもおもしろいところです。

家族でドライブの結末は・・・?

さて、こうして宇宙人とも仲良くなり、遊び心が芽生えてきたのか、あるドライブ計画を考えつきます。

宇宙人に協力してもらうドライブ計画。

家族を車に乗せたら出発です。

ですが、その結末はわかりません。

どんな乗り物になったのか?

どんなところへ行ったのか?

すべては語られずに終わります。

でも、それがとても素敵なところなのです。

「なにになったんだろう?」

「みんなで乗るから大きいものじゃない?」

「きっと恐竜だよ!」

と想像が膨らみます。

また、絵本を閉じると、家族のその後のヒントがあり、さらに想像力をかきたてられるのも素敵な工夫。

この、絵本とともにお父さんのドライブが終わった後に、新たな家族のドライブが想像の世界で始まるのも、この絵本のとてもおもしろいところです。

二言まとめ

お父さんの車が「ピコピコッ」という音とともに起こる、予想外の変化の繰り返しがおもしろすぎる。

仕事に疲れたお父さんが、遊び心を取り戻していく物語です。

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