作:ルク・デュポン 絵:ヒド・ファン・ヘネヒテン 訳:ひしきあきらこ 出版:フレーベル館
雪がたくさん積もったら・・・。
やっぱり雪だるま作りでしょう!
でも、雪だるまって、ただ立っているだけじゃないみたい。
あらすじ
冷たい雪の上に、1人の雪だるまが立っていました。
でも、ただ立っているだけではありません。
転がってくるサッカーボールを、持っているモップで打ち返したり、
氷や雪の上を滑ったり、
ライオンみたいに声も出せます。
歌を歌ったり、ジャンプにダンス、絵だって描けてしまいます。
悲しい時は涙を流すし、楽しい時は笑います。
好きな人といる時は「アイラブユー」と言ったりもします。
でも、だんだんと・・・。
『ゆきがたくさんつもったら』の素敵なところ
- なんでもできちゃう雪だるま
- 感情豊かな雪だるま
- 雪だるまならではの儚さと強さ
なんでもできちゃう雪だるま
この絵本のおもしろいとこころは、雪だるまが当たり前のように動き、しゃべることでしょう。
雪が降れば、自然と作ってしまう雪だるま。
それが動いて一緒に遊べるとしたら、こんなに楽しいことはありません。
しかも、この雪だるま、まるで子どもみたいに遊ぶのです。
ボールをモップで打ち返したり、ライオンみたいな声を出したり。
一緒に遊んだら、絶対楽しいことが伝わってきます。
さらに、思った以上に身軽でダイナミックなのもおもしろいところ。
雪山の上から思いっきりジャンプしたり、逆立ちしたりと、まるでサーカス団のようになんでもできてしまいます。
これには子どもたちからも、
「すげー!」
「逆立ちして頭取れないのかな!?」
など、驚きの声。
雪だるまの予想外の動きに大喜びしていました。
この、雪だるまとは思えないダイナミック動きと、一緒に遊んだら楽しそうな雰囲気が、この絵本のとてもおもしろいところです。
感情豊かな雪だるま
また、雪だるまのすごいところは、身のこなしだけではありません。
しっかりと、感情があるのも素敵なところなのです。
鳥が死んでいるのを見て、涙を流したり、
子どもたちが楽しく遊ぶのを見て笑ったり、
好きな人と愛し合ったり・・・。
人間と同じように、色々な感情を表します。
それはまるで人間みたい。
ですが、人間だと当たり前だと思うけれど、雪だるまだと特別な感じがするのがおもしろいところ。
自分とは違う生き物、ましてや普通は動かない雪だるまが、こうして感情を表しているのを見ると、自然と色々なものが感じている気持ちを考える機会になります。
きっと、今年作る雪だるまへは、いつもより感情移入していることでしょう。
雪だるまならではの儚さと強さ
さて、そんな物語の最後の場面では、雪だるまならではの結末が訪れます。
雪だるまの絵本ではよくある、物悲しく、雪の儚さが身に染みる結末です。
でも、この絵本は雪だるまとの楽しい体験を描いた絵本。
物悲しいままでは終わりません。
雪だるまならではの強さを感じさせてくれる結末になっています。
これが本当に素敵だなと思ったところ。
きっとこの物悲しさは、雪遊びで雪だるまを作った時に、みんな感じることでしょう。
けれど、この絵本の結末を見ると、物悲しさからポジティブに前を向く、新しい視点がもらえるように思うのです。
この静的で、儚い特徴を持った雪だるまを、とても動的で感情豊かで、たくましいものとして描いているところも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
ダイナミックに動き、感情豊かな雪だるまに、雪の上を一緒に跳び回って遊びたくなる。
「静かで儚い雪だるま」という固定概念を、思いっきり塗り替えてくれる雪遊び絵本です。
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