作:高橋和枝 出版:偕成社
ある日、ネコのプーが人間の誕生会に招待されました。
でも、初めてのことに洋服や贈り物など、色々悩んでしまいます。
そんな悩みを解決する合言葉は「あら、そんなの!」。
あらすじ
ある日、ネコのプーは友だちの女の子から誕生日会の招待状をもらいました。
そんなこと初めてだったプーは、仲良しの人間たまみさんに相談しました。
するとたまみさんは「あら、そんなの!なにも考えずいったらいいのよ」と言って行ってしまいました。
プーは一晩悩み、やっぱり誕生会に行くことに決めました。
次の日、プーはパーティーへの心構えを教えてもらうため、たまみさんの家に行きました。
プーはたまみさんに、自分ははだかんぼうだから心配なのだと言いました。
するとたまみさんは「あら、そんなの!」と、たまみさんの服を貸してくれました。
けれど、どれもプーには大きすぎます。
プーがガッカリしていると、たまみさんはハンカチを二枚だし、プー用のかわいいドレスに仕立て上げてくれました。
衣服の次に心配なのが、誕生日プレゼント。
それを聞いたたまみさんは「あら、そんなの!」と、歌のプレゼントを勧めてくれました。
歌に歌詞もつけ、紙に描き出すと、素敵なプレゼントができあがりました。
これで準備万全と、その日の夜はワクワクしながら眠りにつきました。
ですが、朝起きたら胸がドキドキ、お腹はシクシクしています。
プーはたまみさんの家へ行きました。
すると、たまみさんは、優しくプーにとっておきのおまじないを教えてくれたのです。
そのおまじないとは、困った時に大声で「あら、そんなの!」ということ。
2人で声をそろえて言ってみると、プーは少し元気が出てきました。
こうして誕生日会に行ったプー。
誕生日会のひと時を、楽しく過ごすことができるのでしょうか?
『あら、そんなの!』の素敵なところ
- 仕草がかわいすぎるプー
- どんなことも心配ないと思える心強い合言葉
- 素敵なプーの「あら、そんなの!」
仕草がかわいすぎるプー
この絵本で、まず心惹かれるのがプーの圧倒的かいわさでしょう。
もう、表紙の絵からズルいのです。
この目を押さえた姿は、招待状をもらい「こんなの、ぼく初めて。どうしたらいいのかしら」のポーズなのですが、かわいすぎます。
まるで、背中から「困ったにゃあ~・・・」と聞こえてきそう。
他にも目を丸くして驚く表情。
たまみさんに寄り掛かる仕草。
ドレスを作ってもらいパ~っと輝く表情。
など、どれも表情豊かでかわいすぎます。
この一つ一つのプーを見ているだけでも、ものすごく癒されるこの絵本。
子どもたちも、
「かわいいー!」
「プー頑張れー!」
「触りた~い♪」
と、プーにメロメロ。
プーと同じ、目を押さえるポーズをみんな真似して「どうしたらいいのかしら!」とかわいい空間が広がりました。
ただただ、かわいく癒されるプーの姿が、この絵本のまず素敵なところです。
どんなことも心配ないと思える心強い合言葉
そんなプーですが、中々の心配性。
誕生会に招待されたはいいものの、色々と悩みは尽きません。
ネコなのに行っても大丈夫か?
はだかんぼうで心配。
プレゼントをどうしよう・・・。
そこで頼りになるのが、友だちのたまみさん。
たまみさんはプーとは正反対に、とってもポジティブ。
どんな心配事も「あら、そんなの!」と、ポジティブに解決してくれます。
この言葉を聞いていると、なにが起こっても大丈夫な気がしてくるから不思議です。
それに一緒に言いたくなってきます。
見ているうちに、たまみさんが「あら、そんなの!」というタイミングがわかってきて、子どもたちも「あら、そんなの!」と声を合わせて言うように。
この言葉にはネコだけじゃなく、人を惹きつける魅力もあるようです。
誕生会当日、プーの背中を押してくれたのも、この合言葉。
たまみさんからおまじないとして教えてもらった「あら、そんなの!」。
一緒に大きな声で言ってみると勇気と元気が湧いてきます。
もちろん子どもたちも一緒に言っていたので、絵本の外では「あら、そんなの!」の大合唱だったことをプーとたまみさんは知らないのですが・・・。
素敵なプーの「あら、そんなの!」
さて、こうして誕生会に参加することができたプー。
ですが、困ったことが起きてしまいます。
そこで力を発揮したのはやはり「あら、そんなの!」。
この「あら、そんなの!」の使い方が本当に素敵です。
困った状況になったのは自分ですが、この言葉は自分のために言ったのではありません。
プーは他の人を気遣って、この言葉を使ったのです。
そのおかげで、誕生会は楽しい雰囲気のまま終えることができました。
これはプーの気遣いと、機転のおかげ。
このプーの姿を見て、子どもたちも、
「プー、優しいね」
「プーのおかげでみんなニコニコ~♪」
と、優しい気持ちをおすそわけしてもらっているみたいでした。
このプーの優しさがよく表現された「あら、そんなの!」の使い方に、みんなが優しくて楽しい気持ちになれるのも、この絵本のとても素敵なところです。
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