【絵本】てんてんきょうだい(4歳~)

絵本

文:山田慶太 絵:田口麻由 出版:ポプラ社

言葉に点々をつけると意味が変わってしまう言葉。

そんな言葉をてんてん兄弟と探します。

全ての言葉が濁音になっている、癖になる言葉遊び絵本です。

あらすじ

あるところにてんてん兄弟がいました。

てんてん兄弟は、言葉に点々をつけるのが大好きです。

今日も、

「おどうど~」

「にいぢゃ~ん」

「ぎょうもづげるがでんでん」

「づげるづげる!でんでんづげる!」

と、点々をつけようと張り切っていました。

最初に選んだのは「か(蚊)」。

これに点々をつけると・・・

「が(蛾)」になりました。

次は「はね(羽)」です。

点々をつけると・・・

「バネ」になりました。

点々をつけるのを楽しんでいる2人でしたが、ここで弟も点々をつけてみたいと言ってきました。

心配する兄をよそに、やる気満々の弟。

ひとまずやってみることになりましたが、弟が選んできた言葉は・・・「ラーメン」。

これに点々はつけられるのでしょうか・・・?

『てんてんきょうだい』の素敵なところ

  • 全て濁音になっているセリフのおもしろさ
  • 濁音にすると意味が変わる言葉遊び
  • 濁音にならない言葉を濁音にしてみる遊び

全て濁音になっているセリフのおもしろさ

この絵本の特徴的なところは、ほとんどの文章が濁音で作られていることでしょう。

たまにあるナレーションだけは、普通の文章なのですが、てんてん兄弟のセリフは、濁音にできる文字を全て濁音になっています。

特に印象部会のは、「にいじゃん」と「おどうど」。

なんて言っているかはわかるけどなんか変という、むず痒いようなおもしろさをこの濁音からは感じます。

子どもたちも思わず、

「にいじゃんだって、変なの!」

「おどうど~」

と、一緒に言いながらニヤニヤ笑ってしまっていました。

いつも使っている言葉が、全部濁音になってしまう不思議なおもしろさ。

それが、この絵本の大きな魅力の一つです。

濁音にすると意味が変わる言葉遊び

そんな濁音を使って、てんてん兄弟は言葉遊びをしていきます。

ある言葉に、点々を足して、違う言葉に変える遊びです。

これが言葉遊びをよくしている子にも新鮮でおもしろい。

ダジャレや回文、反対語などは流行りやすいのですが、濁音をつけるというのはみんな意外とやっていません。

そこに新たな世界を見せてくれます。

「蚊」が「蛾」になったり、「羽」が「バネ」になったり、すごく簡単なのにおもしろい。

しかも、考えてみると身近にもたくさんあることに気付きます。

こうして、新たな濁音という言葉遊びに気付かせてくれるのも、この絵本のおもしろいところです。

変化する言葉だけじゃなく、自分の名前に濁音をつけてみたりと、色々な濁音遊びに広がりますよ。

濁音にならない言葉を濁音にしてみる遊び

また、濁音をつける遊びの中で、濁音がつかない言葉があることに気付かせてくれるのも、この絵本のおもしろいところなんです。

絵本の中では「ラーメン」が題材になっているのですが、ちゃんと濁音がついた「ラーメン」という文字が出てきます。

この違和感が凄い。

年中・年長組だと、大人ほどは「点々がつかない文字」という認識は薄いのですが、それでも感じる違和感。

これは、たぶん日常生活の中には存在しないという、感覚的なものなのでしょう。

この感覚的な変な感じがなんともおもしろいのです。

さらにおもしろいのが、頑張れば意外と発音できてしまうということ。

そして、濁音をつけたラーメンの発音が、とても奇妙でおもしろい。

子どもたちも大爆笑でした。

この濁音がつかない言葉に濁音をつけてみるという遊びは、普通の言葉に濁音をつける遊び以上に、やっている子は少ないでしょう。

この濁音遊びの新たな扉を開いてくれるのも、この絵本のとてもおもしろくて素敵なところです。

二言まとめ

濁音をつけると意味が変わる言葉、濁音をつけられない言葉など、色々な言葉に点々をつける濁音遊びがおもしろ過ぎる。

見れば、身近なものにとりあえず、濁音をつけてみたくなる言葉遊び絵本です。

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