【絵本】おうちでんしゃはっしゃしまーす(4歳~)

絵本

作・絵:間瀬なおかた 出版:ひさかたチャイルド

ある日、おじいちゃんたちから運転士の帽子と、切符切りのハサミをもらいます。

さっそく、それを使って電車ごっこ。

すると、発車の合図に合わせて家が・・・。

あらすじ

電車の大好きなさとしくんと、おとなりのかおりちゃんが、さとしくんの家で遊んでいました。

そこへ、さとしくんのおじいちゃんとおばあちゃんが遊びに来ました。

昔運転士だったおじいちゃんは、さとしくんへ運転士の帽子を。

車掌さんだったおばあちゃんは、かおりちゃんに切符切りのハサミをおみやげにくれました。

さとしくんとかおりちゃんは、大喜びで電車ごっこを始めます。

ラジオやお鍋、時計をテーブルに並べ、運転席の完成です。

かおりちゃんは、色紙を切って切符を作りました。

いよいよ電車ごっこが始まります。

お客さんはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんです。

車掌さんが切符を切りに周ります。

そこで、おじいちゃんの空色の切符をパチンと切ると、その瞬間体がふわりと浮く感じが・・・。

窓の外を見ると、なんと本当に家が浮いて電車になって空を走り出していたのです。

次にかおりちゃんが、おばあちゃんの緑の切符にハサミを入れます。

すると、目の前に大きな雲のトンネルが現れました。

電車はトンネルの出口に向かって走ります。

そして、トンネルから出ると、そこはおばあちゃんが生まれた山の村でした。

さらにおとうさんの青色の切符を切ると・・・?

不思議なおうち電車。

次はどこへ行くのでしょう?

『おうちでんしゃはっしゃしまーす』の素敵なところ

  • 家が電車になるという夢のようなシチュエーション
  • 切符の色によって変わる目的地
  • 電車言葉が散りばめられた、電車好きにはたまらないセリフ回し

家が電車になるという夢のようなシチュエーション

この絵本のなによりワクワクするところは、家が電車になって走り出すところでしょう。

しかも、走るところは空だというのだから、さらにテンションが上がります。

家が浮き上がったのを見て子どもたちも、

「ほんとに電車になった!」

「空飛んでるよ!」

「乗ってみたい!」

と、大興奮。

自分たちも電車ごっこをしていたら、本当に走り出すかも・・・という気持ちにさせてくれます。

さらに、家の造形も、どこか電車に見える形をしていて、家にようにも電車のようにも見える絶妙な見た目をしているので、走り出しても違和感がありません。

この、自分の家が電車になり、さらに自分が運転士になって運転できるという、子どもが夢見るシチュエーションが見事に詰まっているのが、この絵本の素敵なところです。

きっと、自分も運転士になった気持ちで、一緒におうち電車を走らせていることでしょう。

切符の色によって変わる目的地

しかし、ただ飛ぶだけでは終わりません。

雲のトンネルを抜け、どんなロケーションにも行けるてしまうのです。

このページをめくるたび、全然違う景色と出会えるのも、この絵本のとても素敵で感動するところです。

けれど、脈絡なく色々なところに行くわけではありません。

目的地が切符の色と連動しているのです。

これが子どものイメージと結びつきやすく、次の景色が色と連動して予想でき、スムーズに次の場面へ入り込むことができます。

また、色に合わせた場所へと走る電車を見ていると、

「ピンク色ならどこかな?」

「お花畑じゃない?」

「紫色は?」

などなど、絵本には出てこない色の切符にもイメージが広がって行きます。

この色と景色を繋げた物語の展開も、この絵本のとてもおもしろく素敵なところ。

絵本の内容が、現実でのごっこ遊びのアイディアや、色と景色の結びつきという、子ども達の考え方を広げるきっかけをくれるのです。

もちろん、おうち電車が行く先々での景色の美しさや、細かく描き込まれたそこで暮らす人々や生き物の反応も大きな魅力。

野山で遊ぶ人々や、おうち電車に気付き驚く姿など、様々な発見が散りばめられたロケーションもぜひじっくり眺めてみてください。

電車言葉が散りばめられた、電車好きにはたまらないセリフ回し

さて、この驚くべき旅と同じくらい、この絵本の中で大切に描かれていることがあります。

それは、電車ごっこをしているという、物語の世界観です。

たくさんの素敵なことが起こり、つい忘れがちになってしまいますが、さとしくんと、かおりちゃんは電車ごっこをしてるのです。

そこで要所要所に出てくるのが、車掌さんや運転士さんの使う電車言葉。

「ドア、よし!信号、よし!出発進行!」と始まり、

元の町に戻ってきた時は「まもなく終点です」、

最後は「ご乗車ありがとうございました」と終わります。

これらは子どもたちの電車ごっこでもよく使われる言葉です。

景色に見とれていた子たちも、この言葉を聞くと運転士に戻ります。

このセリフ回しが、電車好きの子にはたまらなく嬉しく、楽しく、一緒に言いたくなるのです。

たくさんのロマンや感動が詰った中でも、電車ごっこらしさを決して忘れず、電車好きの子をお腹いっぱい満足させてくれる物語の作り方とセリフ回しも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

家が電車になり、それを運転して空を飛ぶという、夢とロマンが目一杯詰まっている。

そんな中でも電車ごっこらしさは決して忘れない、電車好きほどさらに楽しめる電車絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました