【絵本】カップねこ(3歳~)

絵本

作:塚本やすし 出版:株式会社ニコモ

お湯を入れて3分待ったら、一緒に遊べるカップねこ。

種類や作り方によって、出てくるネコが変化します。

今日はどのカップねこにしようかな?

あらすじ

男の子しんちゃんの家には、色々なカップねこがありました。

しんちゃんは、野良猫のカップねこを選びお湯を入れて3分待ちます。

すると中から、元気でわんぱくそうな野良猫が出てきました。

手のひらサイズの野良猫は、甘えん坊で暴れん坊。

そして、3分経つと小さくなって、カップの中に戻ります。

次は黒猫のカップねこへお湯を注ぎました。

でも、3分待てないので、1分でふたを開けてしまいました。

すると、鉄のようなカチカチのカップねこが出てきました。

カチカチなのであまり遊べず、3分経ってカップへ戻っていきました。

またまた、新しいカップねこにお湯を入れます。

今度は10分待って開けてみることに。

すると、ふやけて大きくなったぽっちゃり猫が出てきました。

ぽっちゃり猫はどんどんふやけていき、しんちゃんのソファーになりました。

そして、3分経ってカップに戻ろうとしましたが、中々入ることができませんでした。

しんちゃんは、さらにスタミナカップねこを開けました。

しかも、カップについている激辛とうがらしの素だけでなく、冷蔵庫にあったニンニクや唐辛子もどっさり入れてしまいます。

中から出てきたカップねこは・・・。

『カップねこ』の素敵なところ

  • カップ麺のようなカップねこ
  • カップねこでも同じカップ麺あるある
  • 因果応報なカップねこの逆襲

カップ麺のようなカップねこ

この絵本のなによりおもしろいところは、カップ麺からネコが出てくるところでしょう。

もう、表紙を見せた段階で、

「カップねこ!?」

「カップ麺じゃないの!?」

「猫出てきてる!!」

と、ページを開く前から大盛り上がりの大爆笑!

すでにワクワクが止まりません。

でも、中を見てさらにびっくり。

お湯を入れて、3分待つ・・・。

作り方が完全にカップ麺と一致しているのです。

そして、蓋を開けると湯気とともに出てくるネコ。

このアンバランスさが、子どもの好奇心を激しく刺激します。

しかも、出てくる時の迫力とは裏腹に、手のひらサイズでかわいいのだから反則です。

「小さくてかわいい~♪」

「うちもカップねこ欲しいな~」

と子どもの心を鷲掴み。

さらに、3分経ったらカップに戻って片付けられるし、また遊べるという利便性。

ユーザーのことを考え尽くされた仕組みにも脱帽です。

この、子どもも大人も欲しくならないはずがないほど魅力的で隙のない、セールスポイント満載のカップねこのおもしろさが、この絵本のとても素敵なところです。

カップねこでも同じカップ麺あるある

そんなカップねこですが、カップ麺と似ているがゆえに、カップ麺あるあるがカップねこでも起こります。

それが待ち時間あるある。

待ちきれなくて早めにふたを開けてしまった時、麺が固くて「待てばよかった」と後悔するがっかり感。

お湯を入れたのを忘れていて、ふやけて溢れんばかりに麺が伸びている衝撃。

そんなカップ麺で誰もが体験したであろう(幼児はこれから体験するであろう)あるあるが、カップねこにも起こるのです。

これにより妙な親近感が生まれ、こんなにも不思議なカップねこが、なんだか身近なコンビニでも売っていそうな存在に感じられてくるからおもしろい。

さらに、ネコだからこその、普段は絶対にないカチカチになったり、ふやけて大きくなったりする変化も、

「そんなカチカチになる!?」

「ふやけて溶けちゃいそう~」

と、子ども達を驚かせ、大笑いさせてくれることでしょう。

このカップ麺あるあるな麺の変化を、ネコの変化で表現するという、不思議なのに妙な親近感と現実味がある絶妙なバランスも、この絵本のとてもおもしろいところです。

因果応報なカップねこの逆襲

さて、こうして色々なカップねこを開けてきたしんちゃん。

最後に開けたのがスタミナカップねこでした。

しかもただ開けるだけではありません。

冷蔵庫にある刺激的な調味料を、全部入れてしまうのです。

こうしてできたカップねこ。

そこから出てきたのは、しんちゃんが後悔するようなものすごいカップねこだったのです。

この因果応報な、オチが飛び切りおもしろいのも、この絵本の素敵なところ。

恐ろしいネコの刺激と、「も~、あんなことするから~」という気持ち、そしてしんちゃんの自分で作ったネコに懲らしめられる姿の調和が、素晴らしくスッキリと物語を終わらせてくれるのです。

しかも、そこはかとなく「食べ物で遊ぶと罰が当たる」という教訓も感じられるからおもしろい。

さりげなく、カップ麺の要素が隠し味になり、最後の場面に妙な納得感を与えてくれます。

この、「しんちゃんが悪い」と満場一致で納得してしまう、因果応報過ぎて笑ってしまう最後の結末も、この絵本のとてもおもしろくて素敵なところです。

二言まとめ

カップ麺の中からネコが出てくるという、不思議で楽しい商品に自分も作ってみたくなる。

カップ麺らしい現実味と、ネコが出てくる不思議さのバランスが絶妙な、カップ麺を見ると、中からネコが出てきそうな気分になる絵本です。

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