【絵本】あめだあめだくわっくわっくわっ(3歳~)

絵本

文:澤口たまみ 絵:降矢なな 出版:福音館書店

暑い暑い夏の日。

カエルが鳴き始めたそのとたん、土砂降りの雨が降ってきた。

さあ、カエルとともに、ひと時の水浴びを楽しみましょう!

あらすじ

セミが鳴く、暑い暑い夏がやってきた。

麦わら帽子の女の子はアイスを食べながら散歩中。

蜜を吸うアゲハ蝶。

葉っぱの上のアマガエル。

色々な生き物を見つけていく。

そんな中、アマガエルたちが空を見上げていると、入道雲が広がった。

段々大きくなっていく入道雲。

空もうっすら暗くなる。

その時突然、1匹のアマガエルが声を上げた。

すると、他のアマガエルも一斉に鳴きだした。

そこへ、空から大きな雨が一粒ポツン。

すぐに雨は激しくなり、あたりはすっかり土砂降りに。

アマガエルたちは大喜びで大合唱。

次第に雨が小降りになり、やんでしまうと、カエルたちの歌もやむ。

雨の後に残ったのは、気持ちよさそうな女の子にカエル、草花たち。

また、お日さまが顔を出し、空には虹がかかってた。

『あめだあめだくわっくわっくわっ』の素敵なところ

  • 暑い日に降る雨の気持ちよさが思い切り味わえる
  • カエルのすごさとかわいさに魅了される
  • 躍動感あふれる写実的な絵

暑い日に降る雨の気持ちよさが思い切り味わえる

この絵本のなにより素敵なところは、夏の雨の気持ちよさを思いきり感じられるところでしょう。

物語冒頭では、真夏のうだるような暑さが見事に表現されています。

セミの鳴き声、強い日差し、暑さで寝そべる犬・・・。

まさに風ひとつない、暑い夏の日といった雰囲気がじわじわと感じられます。

見ているだけで暑い・・・。

けれど、そこに転機が訪れます。

それが土砂降りの雨。

入道雲が出てきたかと思ったら、急に降り出す、夏特有の大雨です。

普段なら困った突然の雨ですが、暑い夏には違います。

それはまるで、とても心地のいいシャワーのよう。

女の子もイヌもカエルも大喜びで、跳ねまわります。

その様子はまさに恵みの雨。

子どもたちも、

「気持ちよさそうー!」

「今日暑いから、雨降ったらいいのに!」

「私もやりたーい!」

と、とても羨ましそうに。その気持ちよさそうな様子を見ていました。

特にやんだ後の、露に濡れた景色が印象的。

物語冒頭の暑い時とまったく同じ構図なのに、とても涼し気で「生き返ったー!」という声が聞こえてきそうなほど、清々しい雰囲気になっているのです。

この、うだるような暑さからの、雨による気持ちの良い解放感が、この絵本のなにより素敵なところです。

カエルのすごさとかわいさに魅了される

また、雨と同じくらいピックアップされているものがあります。

それは、アマガエル。

その不思議な力のすごさと、かわいさが余すところなく描かれているのも、この絵本の素敵なところでしょう。

雨など降らなそうな空を見ているアマガエル。

その姿は雨が降ることを知っているかのようです。

まさにその時、空に広がる入道雲。

そして、雨が降り出す直前に鳴きだすアマガエル。

それはまるで、アマガエルが雨を読んだようにすら感じます。

そんなアマガエルの、雨を察知する力が、とても神秘的に描かれます。

同時に、すごさだけじゃなく、お腹を膨らませるとまん丸になる姿や、足を伸ばししなやかに跳ぶ姿、嬉しそうな鳴き声など、アマガエルのかわいさも見事に描き出されます。

まるで「かえるのうた」のように歌う姿や、葉っぱの影から顔だけ出す姿など、カエルが好きなら家に連れて帰りたくなるほど魅力的なのです。

子どもたちも、

「かわいいー!」

「一緒に遊びたい!」

「アマガエルに会いたいな~」

など、すっかりそのかわいさに魅了されている様でした。

特にm、最後のページのアマガエルの笑顔は反則的でしょう。

この、神秘的でかわいいアマガエルの魅力が、余すところなく描かれているのも、この絵本のとても素敵で子どもに人気なところです。

躍動感あふれる写実的な絵

さて、これらがこんなにも魅力的に見えるのには、この絵本のとても躍動的で写実的な絵も、とても重要なポイントだと思います。

まるで家の庭を、そのまま写し取ってきたかのような風景は、身近に感じるからこそ夏のうだるような暑さが脳裏によみがえるでしょう。

同時に、空が急に暗くなる不安感や、雨を浴びた気持ちよさも、同じように呼び起こされます。

そして、急に雨がやみ、顔を出すお日さまの清々しさ。

それらがみんな写実的な絵と、躍動感で思い起こされ、こんなにも開放的な気分にしてくれるのだと思います。

アマガエルも同様で、その跳ぶ瞬間のしなやかさや瞬発力、お腹を膨らませる姿、カエル特有の歩き方や動き方などが、本物そっくりに描かれます。

だからこそ、本物のアマガエルが持つ魅力を十二分に感じ取ることができるのでしょう。

まるで、目の前でアマガエルが動き回っているように。

この、写実的で躍動感あふれる絵は、この絵本の魅力に欠かせない、自然をとても身近に感じさせてくれる、外で自然と触れ合って遊ぶワクワク感を思い出させてくれる、とても素敵で美しいところです。

二言まとめ

雨を感じるアマガエルの神秘的でかわいらしい姿を、躍動感たっぷりに描いた。

暑い日に降る雨の気持ちよさと解放感を、アマガエルと一緒に思いっきり味わえる絵本です。

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