作:ジョン・クラッセン 訳:長谷川義史 出版:クレヨンハウス
物をなくすことはよくあると思います。
なくした物を探している時に、それを身に着けている相手と出会ったらどうするでしょう。
これはそんなクマとウサギのお話です。
あらすじ
クマが帽子を探しています。
「ぼくのぼうしどこいったん?さがしにいこ」
キツネに聞いてみますが知りません。
カエルに聞いてみますが見ていません。
赤い三角の帽子をかぶったウサギに聞きますが知らないと言います。
色々な生き物に聞いてみますが誰も知りませんでした。
クマは横になり悲しんでいました。
そこへシカが来て、なくした帽子はどんな帽子か聞きました。
クマは答えました。
「あこうて、とんがってて・・・。あっ、さっき!」
帽子は一体どこにあったのでしょう。
クマの取った行動とは。
『どこいったん』の素敵なところ
- わかりやすい繰り返しと個性的な生き物たち
- 明らかに犯人が出てくるのに気づかないクマにやきもきする
- 衝撃的なオチとループ
「ぼくのぼうしどこいったん」と聞いて、相手が答えるというわかりやすい繰り返しで進んでいくこの絵本。
出てくる生き物の答えが個性的なので、小さい子も年長組くらいでも楽しめます。
クマの質問に答えずに岩を登ろうとするカメ。
全然会話がかみ合わないモグラなど所々にアクセントが入れられていて飽きません。
そんな中、序盤に明らかに動揺している赤い帽子をかぶったウサギ。
見ている人は一発で犯人だとわかります。
でも、クマはウサギの言葉を信じてスルーし、他を探しに行きます。
それを見た子どもたちは「そこにあるよ!」「ウサギが犯人だよ!」と大騒ぎ。
そんな言葉をよそに帽子を探し続けるクマに「さっきあったよ!」とやきもきしてしまいます。
安定感のある繰り返しの文章も、この伏線のおかげでみんな落ち着いて見ていられません。
そしてついに気付いたクマ。
みんなも一安心かと思いきや、中々衝撃的な結末にみんな複雑な表情。
最後の一言にこの後どうなるんだろう・・・。
と思わせて終わります。
わかりやすい作りなのに、最初から最後まで安心させてくれないハラハラドキドキな絵本です。
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