作・絵:ルイーズ・イェーツ 訳:ほんじょうまなみ 出版:岩崎書店
本が大好き過ぎて、本屋を始めたいぬくん。
でも、お客さんが1人も来ません。
落ち込んでいたいぬくんですが、気を取り直して本を読み始めると・・・。
あらすじ
あるところに、本が大好きないぬくんがいました。
いぬくんは、とても本が好きなので、自分で本屋を始めることに。
町を歩いて宣伝し、たくさんの本を準備します。
そしていよいよ開店の時間。
お客さんにあいさつしようと店のドアを開けると・・・
一人もお客さんがいませんでした。
ひとまずお茶をいれることにしたいぬくん。
すると、ご婦人が訪ねてきたではありませんか。
でも、ご婦人が頼んだのはミルクティー。
いぬくんが、ここは本屋だと言うことを伝えると、ご婦人は帰ってしまいました。
しばらくお客さんを待っていると、今度はおじさんが店に入ってきました。
けれど、道を聞きに来ただけでした。
しょんぼりするいぬくん。
しかし、すぐに気を取り直し、待つのはやめて本を読むことに。
本棚から恐竜の本を取り出し読み始めます。
本を読んでいると、もう一人ぼっちではありません。
本の中の恐竜たちと一緒です。
恐竜たちとの冒険が終わったら、違う本を持ってきて次の冒険へ。
こうしていぬくんが、宇宙へ遊びに出かけていたその時。
ついに・・・。
『ほんやのいぬくん』の素敵なところ
- 本がもっと好きになる物語
- とっても素直でかわいいいぬくん
- 本よりもっと好きなこと
本がもっと好きになる物語
この絵本のなにより素敵なところは、いぬくんの姿を通して、本の楽しさに改めて気付けることでしょう。
本の匂いをかいだり、本に寝転んだり、本を全身で楽しむ姿から、本が好き過ぎてしょうがないといった気持ちが伝わってきます。
さらには好き過ぎて本屋を開くまでに。
でも、お客さんが来なくてしょんぼり。
そんな時にも、いぬくんを元気づけてくれるのは、大好きな本たちです。
本を読んでいると、登場人物と出会えて、ひとりぼっちじゃなくなること。
どんな世界にも冒険に出かけられること。
などなど、本の大きな魅力を、いぬくん自ら実践して見せてくれます。
これを見ていたら自然と、
「本っていいよね~」
「そうそう!それが楽しいんだよね!」
と、思わず共感してしまうことでしょう。
特に、本が好きな子には、いぬくんが自分の気持ちを代弁してくれていると思え、嬉しい子と間違いなし。
改めて、本のよさを実感させてくれるのです。
この、いぬくんの本にメロメロな姿を通して、本の素敵さや、自分が本を好きな気持ちを再確認できるのが、この絵本のとても素敵なところです。
ぜひ、本が大好きな子と一緒に読んで欲しい絵本ですね。
とっても素直でかわいいいぬくん
また、本だけでなく、いぬくんも同じくらい魅力的なのも、この絵本の素敵なところ。
このいぬくんが、ものすごく感情表現豊かで素直。
どんな気持ちかが、見ているだけで簡単にわかってしまうのです。
表情もさることながら、特徴的なのは耳。
いつもは折りたたまれていますが、嬉しいと耳がピーンと立ちます。
お客さんが来た時などは、見るからに嬉しそう。
子どもたちも、
「耳ピーンってなってるよ!」
「お客さん来て嬉しいんだね♪」
「かわいいね!」
と、しっかりいぬくんの気持ちが伝わっています。
他にも、本を読んでいる時の穏やかな表情や、お客さんが来なくてしょんぼりした表情、本の世界で楽しそうに冒険する表情など、表情と仕草がどれも絶妙にかわいい。
表情や仕草が豊富で、とても感情が読み取りやすいからこそ、感情移入しやすいのでしょう。
見ているうちに、心からお客さんが来てほしいと思えてくるのです。
そして、お客さんが来た時には、いぬくんと同じくらい嬉しいのです。
この、とてもかわいく素直ないぬくんの姿に癒されつつ、心を通わせ応援したくなるところも、この絵本のとても素敵なところです。
本よりもっと好きなこと
さて、そんな本が大好きないぬくんですが、実は本よりも大好きなことがありました。
それが、絵本の最後のページで明かされます。
この本よりも大好きなことも、この絵本のとても素敵なところです。
この言葉を聞いあとに、物語を振り返ると「本屋を始めたことは、この言葉を実現するためだったのかな?」と思えてきます。
同時に、「自分の大好きな本で、これを実現したかったのかな?」とも。
絵本の読み聞かせは、まさにこの言葉を実現しているもので、読み終わった後、子ども達と「いぬくんのしたかったこと、みんなでしてるね」とおしゃべりしたのが印象的な思い出です。
本を自分で読むことももちろん楽しいけれど、さらに別の楽しみ方にも気付かせてくれる。
これが、この絵本のとてもとても素敵なところです。
きっと読み聞かせをすることで、大人も子どもも、いぬくんと同じ気持ちを味わえると思いますよ。
二言まとめ
本が大好きないぬくんと一緒に、本の楽しさや本が好きな気持ちに、気付いたり再確認できる。
いぬくんの、本屋という素敵な夢を、心から応援したくなる絵本です。
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