【仕掛け絵本】どうぶつ勝負はっけよい(4歳~)

絵本

作:大橋慶子 出版:教育画劇

色々な動物が相撲で勝負・・・。

と、思いきや、組み合うことはありません。

だって、それぞれの動物ならではの、勝ち負けの決め方があるのでですから。

あらすじ

今日は動物たちの相撲大会。

色々な動物が集まってきます。

行事はぱんだのすけ、呼び出しはつるまるが行います。

最初の勝負は、カバのかばのやまと、ひぽぽふじの対決です。

はっけよーい、のこった!の掛け声で、かばのやまが大きく口を開きます。

ですが、対するひぽぽふじはさらに大きく口を開け、ここで勝負あり。

カバはより大きく口を開けた方が強いのです。

次の勝負はなまけもの。

なまけもりとちよなまけを呼び出しますが、どこにも姿が見えません。

でも、よーく見ると、木の中に隠れるなまけもりの姿が。

なまけものは隠れるのが上手な方が強いのです。

よって、見つからなかったちよなまけの勝ち!

お次はクジャクのはねにしきとにじくじゃくの勝負です。

はっけよーい、のこった!の掛け声とともに、大きな声で鳴きだすクジャクたち。

大きくて長い声を出した方が強いクジャクの勝負。

大音量のはねにしきが勝ちました。

結びの一番は、百獣の王ライオンです。

双方、気合は十分!

さあ、一体どんな大一番が繰り広げられるのでしょうか・・・。

『どうぶつ勝負はっけよい』の素敵なところ

  • 色々な動物たちの個性的な勝負の決め方がおもしろい
  • 勝負を迫力満点に引き立てる仕掛け
  • 思わずズッコケてしまう結びの一番

色々な動物たちの個性的な勝負の決め方がおもしろい

この絵本のなによりおもしろいところは、動物たちの個性的過ぎる勝負が見られるところでしょう。

てっきり相撲をとるのかと思いきや、誰も取っ組み合いになんてなりません。

だって、取っ組み合いなんかしなくても、強さの決め方があるからです。

これが、なんとも個性的で、特徴的。

口の大きさ、隠れるうまさ、声の大きさなどなど、なんともバラエティに富んでいます。

でも、そのどれもが、その動物にぴったりで納得。

子どもたちも、

「へーそうなんだ!」

「たしかに、カバさんは口大きいもんね!」

「ケンカしないんだね!」

と、新たな発見を楽しんでいるようでした。

また、これが相撲の形式を取っているというのも素敵なところ。

子どもたちが大好きで馴染みのある相撲という形をとることで、子どもたちの没入感が一気に上がります。

「はっけよい、のこった!」には子どもを引き付け、思わず一緒に言ってしまう不思議な魔力があるのです。

この相撲の流れがあるからこそ、より動物たちの個性的な勝負の世界に入りこむことができるのでしょう。

この、子どもたちを自然に、動物の勝負の世界へ誘い、その勝負のつけ方やおもしろさを伝えてくれるところが、この絵本のとても素敵なところです。

勝負を迫力満点に引き立てる仕掛け

こうして、勝負をしていく動物たち。

この場面が迫力満点なのも、この絵本のおもしろいところです。

勝負のページには、それぞれ仕掛けが用意されていて、これが臨場感を高めてくれます。

カバの勝負なら、見開きのページから、さらに左右にページがめくれ、大きな絵が現れます。

まず、左をめくるとかばのやまが大きな口を開きます。

そこから右のページをめくると、ひぽぽふじがさらに大きな口を開けているという具合です。

これにより、カバたちが口を開きあっている動きが感じられ、さらに、順番に開くことでひぽぽふじの口の大きさが際立ち、子どもたちにさらなる驚きを感じさせてくれるのです。

こんな風に、それぞれの動物に合わせた仕掛けやページの使い方がされて、迫力と臨場感が抜群。

この、仕掛けを使った勝負の見せ方によって、本当に目の前で動物たちが勝負しているような臨場感と迫力が感じられるのも、この絵本のとても楽しいところです。

思わずズッコケてしまう結びの一番

さて、色々な動物たちが戦ってきた勝負も、いよいよ結びの大一番となりました。

ここで登場するのが、百獣の王ライオンです。

これには、子どもたちも絵本の中の観客も大盛り上がり。

「どんな勝負になるのか?」とワクワクする半面、「恐ろしいことになるのでは?」とドキドキもしてしまいます。

そして、いよいよ、「はっけよーい、のこった!」の合図。

と、同時にページをめくると・・・。

そこに繰り広げられる予想外の展開に、会場のみんなも子どもたちもみんな「えー!?」とズッコケてしまいます。

この百獣の王というイメージからかけ離れた、勝負のつけ方もまた、この絵本のおもしろいところ。

まさか、結びの大一番で、一番迫力のない勝負を持ってくるとは・・・。

この脱力感が、動物たちの白熱した勝負に、綺麗なオチをつけてくれるのです。

最後の最後に、威風堂々と出てきた百獣の王の、予想外過ぎる勝負の決め方が綺麗なオチをつけてくれるのも、この絵本の驚きつつもとても笑えるところです。

二言まとめ

動物たちの個性的な勝負の仕方を、相撲形式で楽しく知ることができる。

臨場感と迫力満点な仕掛けによって、本当に目の前で動物たちが戦っているような気分になれる動物絵本です。

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