文:マリオン・デーン・バウアー 絵:ジョン・シェリー 訳:片山令子 出版:ブロンズ新社
春の足音が聞こえてくる。
そんな言葉を耳にしますが、春の音を聞いたことはあるでしょうか。
この絵本に出てくる春の音は少し変わっています。
どんな風に春はやってくるのでしょうか。
あらすじ
冬の終わりの夜に不思議な音が聞こえてくる。
「コツン コトン コツコツ ガリガリ バリバリ パリン パクン パン」
こんな音が聞こえてベッドを飛び出した男の子。
外に出るとどろんこの雪や震える木が見える。
それと一匹のクマ。
クマは「もうすぐ来るよぉ。一緒に行こう」と言ってくる。。
話していると、さっきより大きい音が聞こえてきたので、一緒に行くことにした。
クマと手をつなぎ歩いていくと、木の芽も風も「もうすぐ来る」と歌っている。
歩いていくと、ウサギが巣穴から出てきてついてきた。
その次にリス、そしてビーバー。
1人と4匹がさらに歩いていくと、音の元までたどり着いた。
そこには一体何があったのでしょう。
春はやってくるのでしょうか。
『はるのおとがきこえるよ』の素敵なところ
- 何の音なのかわからないドキドキ感
- 「もうすぐくるよ」という繰り返しのワクワク感
- 春が詰まった素敵な最後
「春の音」と聞いて想像する音とかなり違う春の音。
少し怖い感じもする音。
この音が物語の色々なところで聞こえてきて、どんどん大きくなっていきます。
本当に春の音なのか、もしかしたら怪獣でもいるのではないのかと思えてきます。
男の子も不安になって何度かクマに聞きますが、その答えは「もうすぐくるよ」という言葉だけ。
音が鳴るたびに、子どもたちもドキドキの不安顔を見せます。
しかし、最初はクマだけが言っていた「もうすぐくるよ」が段々広がっていきます。
森の木々や風、ウサギ、リス、ビーバーなども口々に言い始めます。
すると、不安だった気持ちが「いよいよ来るのかな」というワクワク感に変わっていきます。
そして音の元には予想外のものが。
でも、そこからの最後の場面を見た瞬間に「わー!」「春だー!!」とうっとりした感嘆の声が上がります。
絵本を閉じた時にはみんなも春気分になっています。
読み終わった時に、自分たちの元にも春が来た気分にしてくれる暖かい絵本です。
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