作:石津ちひろ 絵:植垣歩子 出版:講談社
暑い夏はやっぱりかき氷!
かき氷屋さんより大きい、超巨大かき氷が出来上がりました。
そこへ次々と、暑さでヘトヘトの動物たちがやってきて・・・。
あらすじ
太陽が照り付ける暑い日。こんな日にはかき氷です。
かき氷屋さんの横に、山のように巨大なかき氷が現れました。かき氷には、ハチミツとメープルシロップがたっぷりかかっています。
そこへ、汗をかきかきカラスが飛んできました。かき氷を突くと、その冷たくておいしいこと。
カラスがかき氷を食べていると、汗をかきかき、キリンもやってきました。キリンもかき氷を食べると、生き返った心地です。
次に、ゴリラもやってきて、かき氷を食べ始めました。さらには、お相撲さんもやってきて、かき氷を食べていきます。リスもやってきて、かき氷を食べていくと、だいぶかき氷の山は小さくなってきました。
でも、まだ、半分くらい残っています。そこで、食べたいお友だちを大きな声で呼んでみることに。
すると・・・。
『かきごおり』の素敵なところ
- 暑い日にぴったりの超巨大かき氷
- 次々にやってくる生き物たちの繰り返し
- やってきた生き物たちに隠された秘密
暑い日にぴったりの超巨大かき氷
この絵本のなによりおもしろく、子どもを一瞬で惹きつけてしまうのは、なんといっても超巨大なかき氷のインパクトでしょう。
冒頭でかき氷屋さんが出てくるので、みんなてっきり普通のかき氷が出てくると思っています。ところが出てきたのは、絶対その店で作ったとは思えない、店の3倍ほどの大きさがある山のようなかき氷。

でかー!?



山みたい!



巨人のかき氷じゃない!?
と、みんな度肝を抜かれます。もうこの時点で、子どもの心を鷲掴み。どうなるのか気になって仕方ありません。
さらに、この食べきれなさそうなかき氷が、徐々に減っていくのも、この絵本の大きな見どころ。生き物たちが順番に食べていくにつれ、かき氷が少しずつ減っていきます。子どもたちも、



あ!小さくなってきた!



だいぶ減ったね!



あとちょっとだ!
と、かき氷の減り方を順次追って、実況します。かき氷が超巨大だからこそ、このおもしろさに繋がるのでしょう。そのおもしろさは、積み木や砂場で大きなものを作り、それを壊す楽しさに似ています。
この、超巨大かき氷のインパクトと、それがどんどん小さくなっていくおもしろさを味わえるのが、この絵本の飛び切り楽しいところです。
次々にやってくる生き物たちの繰り返し
また、この絵本には、もう1つ子どもが夢中になるポイントがあります。それが、次々出てくる生き物たち。ページをめくるたび、次々生き物が現れて、かき氷を食べ始めます。この「次はだれが出てくるんだろう?」というワクワク感も、この絵本の素敵なところです。
しかも、出てくる生き物に予想がつきにくいのがまたおもしろい。カラス、キリン、ゴリラと、鳥や動物だけかと思いきや、お相撲さんという人間も登場。こうなってくると何が出てくるのか、まったく読めません。
それと一緒に、かき氷を食べる姿が個性的でおもしろいのも見逃せないところ。
ゴリラがゴリゴリ言いながら食べていたり
カラスが「うまカァ~」とダジャレを言ったり
キリンの食べたところがトンネルみたいになっていたり
と、食べた方やかき氷が減っていく経過も、見れば見るほど楽しめます。なにより、暑さでヘトヘトの生き物が、かき氷を食べ生き返った表情になるのが心地いい。
この、次々と出てくる生き物たちが、どんどんかき氷を食べていく繰り返しのおもしろさも、この絵本のとても素敵で楽しいところです。
やってきた生き物たちに隠された秘密
さて、こうしてかき氷をどんどん食べていく生き物たち。実は、出てくる順番や、この生き物たちが選ばれたのには理由がありました。それが明かされるのが、最後の場面。生き物たちが1つのページに勢ぞろいして並びます。そこである文字を順番に読んでいくと・・・。
この言葉遊びの秘密もまた、この絵本のとてもおもしろいところです。てっきり、ただ通りすがりにやってきたと思っていた生き物たちに、実は理由があったという驚き。これはまるで、ミステリーの答え合わせのようなおもしろさと衝撃を味わえます。子ども達も、



あー!ほんとだ!



そういうことだったの!?



すごーい!
と、大興奮。物語が無事終わったと思った後の、最後の種明かしに大騒ぎです。
この、最後に明かされる、遊び心あふれる秘密の言葉遊びもまた、この絵本の抜群におもしろいところです。
ぜひ、下読みせずにこの驚きを、子ども達と味わってみてください!
二言まとめ
度肝を抜かれるほどの超巨大かき氷が、次々出てくる生き物たちにより、どんどん減っていく繰り返しがおもしろい。
言葉遊びのサプライズで、最後にまた度肝を抜かれる絵本です。
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