作:皆川博子 絵:宇野亜喜良 編:東雅夫 出版:岩崎書店
無邪気な悪意は恐ろしい。
好奇心は大切だけれど、一歩間違えば身を滅ぼしてしまいます。
このマイマイもその一人。
どんな絶望が待っているのでしょう。
あらすじ
女の子マイマイは、ある日小さな弟を見つけた。
その弟はあんまり小さくてお父さんにもお母さんにも見えなかった。
弟の名前はナイナイ。
マイマイはナイナイをクルミの殻に入れた。
マイマイは花を摘みに行った森で、走って来た馬に右目を蹴られ壊れてしまった。
壊れた目の代わりにクルミを入れた。
瞼を開くとクルミのからも開く。
瞼を閉じるとクルミのからも閉じる。
クルミの中にいるナイナイは、マイマイが眠っている時にそっとからを開けた。
そこには夜の夢が広がっていた。
そして、夜の夢のしっぽを捕まえた。
ナイナイは夜の夢をクルミの殻に引きずり込んだ。
夜の夢がマイマイの頭の中に流れ込んだ。
夜の夢が流れ込んだマイマイは一体どうなってしまうのでしょう。
『マイマイとナイナイ』の素敵なところ
- 独特過ぎる世界観
- 世界観にとても合っている中毒性のある絵
- わかりにくいけれど、わかると背筋が冷たくなる
この絵本の世界観は独特というより他にありません。
とても綺麗でファンタジーな世界。
でも、壊れた目にクルミをはめ込む、狂気も感じる世界観。
そして、その世界観の濃度をさらに濃くしているのがこの絵です。
パステルカラーで描かれた、綺麗でかわいらしい絵。
万人受けはしないけれど、何人かは目が離せなくなる中毒性のある絵。
それらがこの世界がところどころで見せる狂気をとても自然なものにしているのです。
そんな世界で描かれる物語は無邪気な狂気の物語です。
少し複雑で、難しいけれど、わかった時には背筋が冷たくなります。
もし、自分がそうなったらと考えてしまいます。
きっと万人受けはしないけれど、何人かの心には深く突き刺さる。
そんな絵本です。
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