作:スギヤマカナヨ 出版:アリス館
手の中になにかが入っていたら、見たくなってしまうもの。
そんな時の合言葉は「みーせーて」。
そうすればきっと「いーいーよ」と見せてくれることでしょう。
あらすじ
いいものを見つけたので、両手で大事に包む男の子。
中からはチリンチリンといい音がします。
友だちが「みーせーて」というので、「いーいーよ」と手を開くと・・・
中に入っていたのは鈴でした。
女の子の手の中にも何か入っています。
どうやらくすぐったいみたい。
「みーせーてー」と言うと、「いーいーよ」と手を開き・・・
出てきたのはテントウムシ。
次の女の子の手の中には、大きなものが入っています。
手の中から少しだけ赤い部分が見えています。
「みーせーてー」と言うので、「いーいーよ」と手を開くと・・・
手の中にあったのは、真っ赤なバラの花でした。
次の子は、手首に時計の絵が描いてあります。
お母さんが描いてくれたみたい。
そんな子の手の中にあったのは・・・。
『みーせーて』の素敵なところ
- なにが入っているのか気になる手の中
- 「みーせーて」「いーいーよ」の楽しいやり取り
- みんなでワイワイ盛り上がる最後の場面
なにが入っているのか気になる手の中
この絵本のまずおもしろいところは、手の中になにが入っているかを予想する楽しさでしょう。
両手でなにが入っているかわからないように持っていたら、気にならないはずがありません。
普段の遊びの中でも、「なにが入っているでしょうか?」や「どっちの手に入ってるか?」は大人気の遊び。
手で握って隠すだけで、子ども達にとっては極上の遊びになるのです。
その遊びが、絵本になっているのだから盛り上がらないはずありません。
しかも、この絵本の場合は、音やにおいなど適度なヒントもあり、さらに予想がはかどります。
「くすぐったい」という言葉を聞き、「生き物かな?」と予想したり、
「いい匂い」と「赤い」というヒントから、「リンゴじゃない!?」とひっかかったり。
クイズのような、手の中に入っているものを予想する遊びがとても楽しいのです。
この、シンプルゆえに、小さい子から大きい子まで楽しめる、手の中に入っているものを当てる遊びが、この絵本のとても楽しいところです。
「みーせーて」「いーいーよ」の楽しいやり取り
こんな風に、手の中を見せてもらうことで進んでいくこの絵本。
でも、なにも言わなくても見せてくれるわけではありません。
そこでのやり取り「みーせーて」「いーいーよ」の楽しさもまた、この絵本の素敵なところです。
手の中が気になり「みーせーて」と伝えると、快く「いーいーよ」と手の中を見せてくれるこの流れ。
これがとても心地いいのです。
普段からよく使うこの言葉。
けれど、生活の中では「やーだーよ」と断られることもしばしば。
ですが、この絵本の中では「みーせーて」が「いーいーよ」と快く受け入れてもらえます。
その心地よさを感じることで、生活の中でも使ってみようと思えることでしょう。
楽しいだけでなく、言葉でのやり取りのモデルケースともなってくれているのかもしれません。
聞いている子どもたちも自然と、
「みーせーて」
「いーいーよ」
と一緒に言い始めるので、最後の方はみんなで声を合わせ「みーせーて」「いーいーよ」という場面も。
この、一緒に言いたくなってしまう「みーせーて」「いーいーよ」のやり取りの楽しさもまた、この絵本のとても素敵なところです。
みんなでワイワイ盛り上がる最後の場面
さて、そんな楽しいこの絵本。
最後に手の中から出てくるもので、ワイワイ盛り上がって終わるのも、この絵本のとても楽しいところとなっています。
最後の場面では、みんな大好きなあるものが、とてもたくさん出てきます。
さらに、見るだけじゃなく、「みーせーて」「いーいーよ」の次のやり取りも生まれます。
これがとてもおもしろい。
これまでは見ているだけだった子どもたちが、この場面では参加者になり、絵本の中の子ども達と混ざり合います。
それはまるで、目の前に本当に手があるよう。
「わたしも!」
「ぼくも欲しい!」
と、手を伸ばして取りに来るのです。
このワイワイした感じがとても楽しい。
みんなに行きわたり、それを口に入れて楽しくきれいに終わります。
この、最後の場面で、みんなが絵本と一体になる楽しさも、この絵本のとても素敵なところです。
見るだけじゃなく、最後に自分ももらうことができた満足感が、子どもの顔から強く伝わってくると思いますよ。
二言まとめ
「なにが入っているでしょうか?」という楽しい遊びを、絵本を通して楽しめる。
「みーせーて」「いーいーよ」というやり取りが心地よく、自分も一緒に言いたくなってしまう絵本です。
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