作:西川季岐 出版:エンブックス
バラバラに散らばっている丸たち。
「ならんでならんで」と促すと・・・
綺麗に並んで気持ちいい!
あらすじ
赤い丸たちが散らばっていました。
「ならんならんでまっすぐに」と促すと・・・
きれいにまっすぐ並びました。
緑の棒たちが散らばっていました。
「ならんでならんでまっすぐに」と促すと・・・
折り重なるようにまっすぐ並ぶことができました。
黄色い三角たちが散らばっていました。
「ならんでならんでまんまるに」と促すと・・・
きれいな丸に並ぶことができました。
今度は、マッチ棒たちが散らばっていました。
「ならんでならんでじぐざぐに」と促すと・・・。
『ならんでならんで』の素敵なところ
- バラバラなものがきれいに並ぶ気持ちよさ
- まっすぐだけじゃない色々な並び方
- 子どもたちが夢中になる色と形
バラバラなものがきれいに並ぶ気持ちよさ
この絵本のまず見ていて楽しいところは、バラバラだったものが綺麗に並ぶ気持ちよさです。
きっと、この気持ちよさは人間の本能的なものなのでしょう。
バラバラに散らばったものが、規則的に並ぶとなぜかとてもスッキリします。
それが、この絵本では前面に押し出され、バラバラだったものが、ページをめくった瞬間、一斉に整列しているという気持ちよさが存分に味わえるのです。
また、「並ぶ」というのがどういうことか視覚的に伝えてくれるのも、この絵本のポイント。
普段は「並んで」と言われても、自分の視点からだと「並ぶ」の正解がよくわかりません。
それが、この絵本では、俯瞰視点で描かれるので、「まっすぐ並ぶ」や「丸く並ぶ」というのが、視覚的に一発でわかるのです。
並ぶ前に読めば、きっと並ぶことへのイメージが持ちやすくなることでしょう。
さらに、きれいに並べたら、その気持ちよさも現実で体感できるはず。
この、きっちり並ぶ気持ちよさを味わいつつ、視覚的に「並ぶ」ということを感じ取れるのが、この絵本のとても素敵なところです。
まっすぐだけじゃない色々な並び方
そんな並ぶ気持ちよさを味わえるこの絵本ですが、並び方が様々なのもおもしろいところです。
まっすぐだけでなく、丸く並んだり、ジグザグに並んだり、色ごとに並んだり・・・。
色々な並び方のパターンを見せてくれます。
また、「まっすぐ並ぶ」の中にも、丸だったら一列に並ぶけど、棒だったら折り重なるように並び横断歩道のようになるなどバリエーションが。
「並ぶ」という言葉に含まれる意味の豊富さも、さり気なく伝わってくるのです。
子どもたちも、色々な形の並び方に興味津々。
「まっすぐ!」
「まーる」
「ジグザグジグザグ・・・」
と言いながら、指で並んだ形をなぞって楽しそうでした。
この、目と耳と体で、色々な並び方を味わえるのも、この絵本の大きな魅力の1つです。
子どもたちが夢中になる色と形
さらに、この絵本にはもう1つ楽しい要素があります。
それは、色と形。
この絵本に出てくるものは、ページをめくるたび、色と形が変化します。
形なら、〇、△、□から長細い棒まで。
色なら、赤に黄色に青に緑、ページごとに違う色が出てきます。
これがとても子どもたちの興味を惹きつけます。
「まる、いっぱい!」
「今度は三角だよ!」
「赤!、緑!」
などなど、ページをめくるたび、指さしながら出てきたものを教えてくれる子どもたち。
これにより、「並ぶ」ということにまだおもしろさを見いだせない小さな子でも興味津々。
色とりどりの様々な形を見ているだけで、とても楽しい作りになっているのです。
もちろん大きな子も、色と形に興味津々なのですけれど。
この、色々な形や色がページをめくるたびに出てくる賑やかさに、見ているだけで楽しいというのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
色々な色の形が、きちっときれいに並ぶ気持ちよさを、思う存分あじわえる。
並ぶってどういうことかや、色々な並び方があることを、直感的に伝えてくれる絵本です。
コメント