作:小池壮太 出版:ブロンズ新社
目覚まし時計やほうきに、貯金箱。
働き者の身近なものたちは、休みの日に何をしているのでしょう?
そんな休みの日をこっそりのぞいてみる絵本です。
あらすじ
いつもみんなを起こしてくれる目覚まし時計さん。
そんな目覚まし時計さんの休みの日は・・・
ふかふかの布団で、昼過ぎまで寝坊しています。
いつも掃除をしてくれているほうきさん。
そんなほうきさんの休みの日は・・・
お風呂屋さんに一番乗りして、シャンプーをしています。
いつもお金を貯めてくれる貯金箱さん。
そんな貯金箱さんの休みの日は・・・
我慢しないで好きなものを買っています。
ご飯の時に欠かせない、コップさん、お皿さん、スプーンさん、フォークさん。
そんな4人の休みの日は・・・
レストランに集まって、ごちそうをいっぱい食べています。
いつも驚かせてくるオバケさん。
そんなオバケさんの休みの日は・・・。
一体どんな過ごし方をしているのでしょう?
『やすみのひ』の素敵なところ
- 身近なものたちの意外な休みの過ごし方
- 自分の身近なものの休みの日へも想像が膨らむ
- でも、遠出をし過ぎると・・・
身近なものたちの意外な休みの過ごし方
この絵本のなによりおもしろいところは、身近なものたちの休みの過ごし方が意外過ぎるところでしょう。
目覚まし時計なら早起きしそうなものなのに、昼過ぎまで寝坊していたり、
貯金箱ならお金を数えていそうなものなのに、むしろ思いっきり使っているなど、
どれも、意外性抜群。
子どもたちも、
「えー!私たちのこと起こすのに寝てるの!?」
「お金減っちゃうじゃん!」
と、笑いと驚きが止まりません。
でも、そのどれもが物の性質をうまく使っていて、妙に納得感があるのがおもしろい。
目覚まし時計なら「いつも一番早起きしてるもんね」
ほうきなら「いつも頭が汚れちゃうから、きれいにしてるんじゃない?」
と、自然とその理由付けが見つかります。
この、いつもの働きをよく知っているからこその、休みの日の過ごし方の意外性や納得感が、この絵本のとてもおもしろいところです。
自分の身近なものの休みの日へも想像が膨らむ
そんな休みの日の過ごし方を見ていると、自分の身近なものへも自然と想像力が膨らみます。
「うちのぬいぐるみも、今頃おしゃべりしてるかも」
「テレビは休みの日何してるんだろう?」
「アレクサは勝手に好きな音楽流してるかな?」
などなど、色々なものに対する子どもたちの想像がおもしろい。
また、絵本の中にオバケが出てくることで、物以外にも想像力を広げてくれます。
「雲は休みの日なにしてるんだろう?」
「お日様は沈んだ後、寝てるのかな?」
「パーティしてるんじゃない?」
と、物ではないけれど、身近なものの休みの日にも思いをはせているのでした。
この、身近なものたちにも休みの日があるという、新しい視点から、自分の身近なものへもどんどん想像力が広がって行くおもしろさもまた、この絵本のとても素敵なところです。
でも、遠出をし過ぎると・・・
さて、色々な休日の過ごし方をしている物たちですが、最後に出てくるものはなんと思いっきり遠出をします。
貯金箱やお皿は、おそらく近所での買い物や飲食でしたが、最後の物は車や電車レベル。
なんなら、1泊2日です。
その姿はとても楽しそうで、子どもたちも「いいな~。行きたいな~」と羨ましそう。
ただ、こうなると困ったことが起きてしまいます。
そう、翌日の仕事の日。
1泊2日ということは・・・。
この、最後の「遊びすぎるから~」というオチも、この絵本のとてもおもしろいところとなっています。
特に遠出した物がよく無くなる物なのも相まって、妙な信憑性が生まれるのもおもしろい。
「あ、もしかしてあれも・・・」
と、自分の家の無くなった片割れも、どこかに行っているのかと思えることでしょう。
二言まとめ
身近なものたちの、意外だけれど妙な納得感もある休日の過ごし方に、驚きと笑いが止まらない。
見れば、自然と自分の身近なものたちの休日の過ごし方にも、想像力が広がって行く絵本です。
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