文・絵:こがようこ 出版:大日本図書
枝豆を皮から「ピュッ!」と出して、「あーん」と食べる、
読み手と聞き手のやり取りが自然と生まれる楽しい絵本。
どんどん出てくる枝豆にモグモグが止まらない!?
あらすじ
枝豆が1つありました。
皮からお豆を出してみることに。
皮を押すと、中から「ピュッ!」とお豆が3つ。
さっそく食べてみます。
お豆を食べ終わると、さらに枝豆が1つ出てきました。
また、皮から出して食べてしまいます。
今度は、2つくっついた枝豆が。
お豆を出すと、6個も飛び出してきました。
出てきたお豆は集めて食べてしまいましょう。
さあ、次はとてもたくさんの枝豆です。
全部一気にお豆を出します。
跳びはねるお豆たちを集めたら…。
『えだまめ』の素敵なところ
- 枝豆を皮から「ピュッ!」と出して、「あーん」と食べるやり取りがとても楽しい
- どんどん増えていく枝豆に大盛り上がり
- 赤ちゃんへ絵本を読むのに慣れていなくても安心の作り
枝豆を皮から「ピュッ!」と出して、「あーん」と食べるやり取りがとても楽しい
この絵本のなにより楽しいところは、読み手と聞き手の枝豆を介したやり取りでしょう。
まずは、目の前に出てきた枝豆を皮から出します。
この時に、皮を押すと「ピュッ!」と勢いよく出てくる動きがおもしろい。
最初は、見ているだけの子どもたちも、要領がわかってくると自分も手で押して、枝豆を出そうとし始めます。
新しい枝豆が出てくるたび、「ぎゅっ」と押して「ピュッ!」と勢いよく枝豆を出てくる連動がなんとも気持ちいいのです。
さらに、お豆が出てきたらどうするか?
そりゃ食べるに決まっています。
小さい子には、お豆を口に運んであげる振りをすれば「パクッ!」と口を開けモグモグ。
大きい子は、自分から手を伸ばしモグモグ。
お豆を「ピュッ!」と出し、「パクッ!」と食べる流れが完璧に出来上がっているのです。
この、枝豆を介した、読み手と聞き手のやり取りが、この絵本のとても楽しい素敵なところ。
きっと、絵本を読んでいるというより、一緒に触れあって遊んでいる感覚を味わえると思います。
どんどん増えていく枝豆に大盛り上がり
そんな遊びながら読むのが楽しいこの絵本。
子どもたちをさらに盛り上げる仕掛けが施されています。
それが、ページを経るごとに、どんどん増えていく枝豆の数。
最初は1個だけだった枝豆が、2つになり、最後は10個にまで増えるのです。
もちろん、出てくるお豆は、枝豆の倍以上。
ところ狭しと出てくるお豆に、
「お豆だらけだ!」
「いっぱーい!」
「全部食べちゃう!」
と、子どもたちも大盛り上がり。
始めは「パクッ!」と、一つずつつまんで丁寧に食べていた子も、最後は両手を使って「バクバク」とがっつくワイルドさ。
ただ、数が増えていくというシンプルなおもしろさが、お豆を出して食べるというシンプルな流れと見事にマッチしているのです。
この、ページをめくるごとに枝豆が増えていき、それをひたすら食べてほっぺたがハムスターのようになってしまうところも、この絵本のとてもおもしろいところです。
赤ちゃんへ絵本を読むのに慣れていなくても安心の作り
さて、そんな楽しいこの絵本ですが、赤ちゃんへ絵本を読むことに慣れていない人向けに作られています。
「どんな風に語りかけたらいいのか?」という悩みや不安を持っている人は多いことでしょう。
その不安に寄り添うよう、この絵本は普通に読んでいるだけで、語りかけの形になるよう構成されています。
例えば最初の場面。
枝豆を見ながら「なんだろな。なんだろね。そう え、だ、ま、め。」と、読むだけで子どもが自然と反応を返す作りになっています。
お豆を出す場面も「お豆が入ってるよ。出してみよっか。」
ピュッ!とお豆が出てきたら「出た 出た、お豆!食べてみる?あーん!」と、自然につまんで子どもの口へ運ぶ動きに繋がる語りかけに。
こんな風に、普通に読んでいるだけで、子どもに語りかける作りとなっているのです。
語りかけると、もちろん子どもたちが反応を返します。
反応が返ってくると、絵本を読み慣れていない人でも、子どもとのやり取りが生まれ、読み聞かせを通して心が通じ合う楽しさを味わえます。
この、絵本を読む楽しさを味わうための懸け橋となってくれるのも、この絵本のとても素敵なところです。
絵本の最後には、もっと楽しく読むための「語りかけちょこっとヒント」も載っているので、ぜひ見てみてください。
きっと、「絵本は読むもの」と思っている人ほど、「絵本で遊ぶ」という自由さに驚き、そのおもしろさに感動すると思いますよ。
二言まとめ
枝豆を皮から「ピュッ!」と出して、「パクッ!」と食べる、読み手と聞き手のやり取りがとても楽しい。
普通に読むだけで、子どもへ語りかける形になる、絵本を読み慣れていない人にも安心の、語りかけ絵本です。
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