作:西村敏雄 出版:白泉社
おいしそうなものを見つけた、はらぺこネズミ。
「ぱくっ!」と食べてみると、なんとネコのしっぽでした。
ネコは驚いて目の前にあったイヌのしっぽを・・・。
あらすじ
はらぺこネズミががやってきて、ネコのしっぽに「ぱくっ!」と噛みつきました。
ネコは驚いて、イヌのしっぽに「ぱくっ!」
イヌも驚いて、ブタのしっぽに「ぱくっ!」
ブタも驚いて、ウシのしっぽに「ぱくっ!」
驚いたウシの目の前に会ったのは、ネズミのしっぽですが・・・。
『ねずみがぱくっ!』の素敵なところ
- 次々と連鎖していく「ぱくっ!」に大笑い
- 愉快な鳴き声と噛まれた時の顔
- 一周してくる驚きの結末
次々と連鎖していく「ぱくっ!」に大笑い
この絵本のなによりおもしろいところは、動物たちが次々と、ほかの動物のしっぽを「ぱくっ!」とくわえていく連鎖のおもしろさでしょう。
ネズミがネコのしっぽを「ぱくっ!」としたら、驚いて駆け出したネコが目の前にあったイヌのしっぽを「ぱくっ!」と食べる。
さらにイヌがという、繰り返しがたまらなくおもしろいのです。
子どもたちも、
「また、食べちゃった!」
「痛くないのー!?」
と、大笑い。
どんどん出てくるしっぽに、驚きと笑いが止まりませんでした。
また、しっぽの登場の仕方が、動物クイズのようになっているのも盛り上がるところ。
最初にしっぽだけが、ページの端でゆらゆらしていて、ページをめくりと「ぱくっ!」とすると、なんの動物かわかるようになってるのです。
これがシンプルにおもしろく、しっぽを見て、
「ワンワン!」
「ブタさんだ!」
と、小さい子も出てくる動物を予想したり、知っている動物が出てきて大盛り上がり。
指差しが止まりませんでした。
この、よく知っている動物たちのしっぽが次々「ぱくっ!」と食べられていくシンプルかつ、外さないおもしろさが、この絵本のとても素敵なところです。
愉快な鳴き声と噛まれた時の顔
そんな展開がおもしろいこの絵本ですが、音と絵のおもしろさも忘れてはいけません。
動物たちは「ぱくっ!」とされた時、とても特徴的な鳴き声と個性的な表情で驚きます。
これがまあ、子どもたちの笑いのツボを見事に刺激してくれるのです。
ネコなら「にゃお~!」
ブタなら「ぶひ~!」
ウシなら「も~も~!」
と、泣きながらなんとも笑ってしまう、表情で驚くのです。
その表情はまるで、ギャグマンガのキャラクターが、痛くて飛び上がる時の様な顔。
もう、笑わせる気満々の表情をしてくるのです。
もちろん、これを見た子どもたちは「変な顔www」と大笑い。
しっぽが「ぱくっ!」とされるおもしろさと、鳴き声のおもしろさと、表情のおもしろさが相まって、みんな大爆笑という、とても楽しい時間が流れます。
これが、ページをめくるたび繰り返されるのだからたまりません。
読み終わった後は息も絶え絶えになりながら、「もう一回読んで!」と言ってくる子どもたちなのでした。
この、物語と、鳴き声と、表情のおもしろさという相乗効果で、とても楽しい笑いの渦を作り上げてくれるのも、この絵本のとても素敵な、見ている人も読んでいる人も楽しく盛り上げてくれるところです。
一周してくる驚きの結末
さて、そんな物語の最後のしっぽは、まさかのネズミ。
振り出しに戻ってきます。
これには子どもたちもびっくり。
「え!?ネズミ!?」
「戻ってきちゃった!」
「丸くなっちゃうよ!?」
と、さっきまで笑っていた子どもたちから驚きの声が上がります。
この予想外過ぎる結末も、この絵本のおもしろいところとなっています。
巡り巡って「ぱくっ!」とされる自分のしっぽ。
もうなんだかよくわかりません。
多分、最初のはらぺこもどこかにいってしまったことでしょう。
ただ、1つ言えるのは、動物たちがみんな楽しそうだということ。
まさかの展開から、まさかの収束を迎え、なんだかよくわからないけれど楽しそう。
この、最初から最後まで「なんだか楽しい」がずっと続くのも、この絵本の大きな魅力なのでしょう。
1日の中で色々なことがあるけれど、この絵本を読めば一発で楽しい気持ちにしてくれる。
そんな笑いと楽しさと平和が詰った絵本です。
二言まとめ
動物たちが次々としっぽを「ぱくっ!」と食べていく、シンプルな繰り返しがたまらなくおもしろい。
おもしろすぎる動物たちの鳴き声と表情も相まって、大爆笑必至のとても楽しい動物絵本です。
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