文:ジュリー・フォリアーノ 絵:エリン・E・ステッド 訳:金原瑞人 出版:講談社
花や草などで色づく春。
冬の寒色の中に、春の暖色が顔をのぞかせてくると、心がウキウキしてきます。
そんな春の色づきを綺麗な絵と色彩で描く絵本です。
あらすじ
冬、男の子が犬と一緒に庭を見ると見渡す限り茶色だった。
そこで種を植えることにした。
日が経ち、茶色でなくなりそうなところも出てきた。
一週間経ったがまだ茶色。
鳥が食べたり、クマが種の上を歩き回らないか心配になり、立札を作った。
また、一週間が経った。
まだ茶色だけど、緑っぽくなってきていた。
それからまた一週間が経った。
雨上がりの晴れた日だったけど、まだ茶色だった。
茶色でなくなる日は来るのでしょうか。
『あ、はるだね』の素敵なところ
- 色で表現されるわかりやすい冬と春
- とても細かく綺麗な絵と、鮮やかな色彩
- 茶色の冬から、春への解放感を感じさせてくれる
この絵本では、冬が茶色で春が緑という風に表現されています。
色合いの対比がわかりやすく、漠然とした春らしさが直感的にわかります。
でも、中々春になりません。
この絵本のほとんどのページが茶色です。
だからといって殺風景なわけでもありません。
茶色の中にも綺麗な絵で細かく色々なものが描き込まれているからです。
一緒に春を待つ、カメやウサギのかわいい仕草。
種をまく情景。
少しずつ根を張っていく種。
よく見れば見るほど新しい発見があります。
そして、少しずつ庭が賑やかになってきます。
絵だけでなく、綺麗な色彩も色の対比で季節を表現しているこの絵本にぴったりです。
この色彩の使い方も、徐々に色づかせるのではないところが面白い。
最後の場面までずっと茶色のこの絵本。
だからこそ最後の場面で「あ!はるだ!」と心から思わせてくれ、長い冬からの解放感を確かに感じさせてくれます。
読んだら、散歩に出かけたくなること間違いなしの絵本です。
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