作・絵:田中友佳子 出版:徳間書店
いつもきっちり、真面目一筋。
そんな電車が変身の術を使えたら・・・。
楽しむのか、困るのか?
真面目な電車の反応とは?
あらすじ
時間きっかり、いつも真面目な電車のまじめさん。
そんなまじめさんが初めてびっくり線を走ります。
最初の駅に着くとタヌキの団体さんが乗り込んできました。
タヌキたちは温泉旅行に行くところでした。
乗り込んだタヌキたちは車内で化け比べを始めて大騒ぎ。
まじめさんにも化けてみるかと誘いますが、まじめさんはきっぱり真面目にお断り。
そうこうしながら走っていくと、岩男が線路をぐるぐる巻きにしていました。
まじめさんが困っていると、タヌキたちが呪文を唱えます。
すると、まじめさんがジェットコースターに化けて宙返り。
元の線路に戻ってこれました。
安心したのも束の間。
今度はおばけだこが線路をブランコにして遊んでしました。
タヌキたちがまた呪文を唱えます。
するとまじめさんは潜水艦に化けておばけだこの横をすり抜け、陸の線路に戻ることが出来ました。
その後も化けては危機を乗り越えているうちに、まじめさんは化けるのが楽しくなってきました。
そこでタヌキたちは「なりたいものに化けてみてはどうだい?」と提案します。
そして、まじめさんの化けたものはなんとロケットでした。
宇宙まで飛んで行ったまじめさん。
その気持ちよさに電車に戻りたくなくなってしまいました。
困ったのはタヌキたちです。
それでは温泉旅行に行けません。
まじめさんとタヌキたちは無事地球に戻ってこられるのでしょうか。
『たぬきがのったらへんしんでんしゃ』の素敵なところ
- まじめさんのとても真面目な姿と話しぶり
- あっと驚く変身の数々
- 迫力満点の絵
角ばった顔と四角い目から伝わってくる、まじめさんの真面目さや実直さ。
それは話し方にもよく出ていて、陽気なタヌキたちを前にしてもぶれません。
そんなまじめさんのキャラクターだからこそ、色々な危機を化けて乗り越えていく姿がより面白くなります。
まじめさんに降りかかるピンチはスケールの大きなものばかり。
それを見た子どもたちは「うわ!大きい」「線路がぐにゃぐにゃ!」など、まじめさんの気持ちを代弁したような反応を見せてくれます。
そのたびにあっと驚くものに化けて危機を乗り越える姿は痛快です。
そして、乗り越えた後の反応がまた真面目です。
予想外の事態にドキドキしてしまいます。
この対比が物語を盛り上げてくれているのだと思います。
この盛り上がりには絵の存在も欠かせません。
化けた時の、迫力があり躍動感あふれる大きな絵。
これによって、化けた瞬間に物凄く盛り上がります。
特に、ロケットの所は本当にロケットが発射される瞬間を見たような反応です。
「ロケットだ!」「すごーい!」と目をキラキラさせていました。
次々にやってくるピンチを大迫力の変化の術で乗り越えていく痛快な絵本です。
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