作:高畠純 出版:絵本館
スイカが海をただよっています。
そこへ海の生き物たちがやってきて、スイカを使い一休み。
ゆったりのんびりスイカの旅は続きます。
あらすじ
スイカが海に浮かんで、旅をしていました。
ラッコがスイカを見つけ近づいてきます。
ラッコはスイカを枕にして昼寝を始めました。
そして、ラッコは目をさますと、どこかへいってしまったのでした。
次にタコがやってきて、スイカに抱きつき休憩を始めました。
しばらく休むと、タコもどこかへいってしまいました。
今度はアザラシがやってきて、スイカに持たれかかり休憩します。
元気になると、アザラシはどこかへいってしまいました。
さらにペンギンたちがぞろぞろやってきて、スイカを使い飛び込みの練習を始めました。
順番にスイカの上に立ち、海の上へ飛び込み、泳いでいってしまいました。
最後に来たのはクジラです。
あまりの大きさに、さすがのスイカもなにをされるのかとドキドキします。
クジラはスイカを一体どうするのでしょう?

おしまい!
『すいかのたび』の素敵なところ
- 海の上ならではなスイカの使い方
- クジラの優しくて意外なスイカの使い方
- 広い海の中、小さなスイカが漂っているのんびりゆったりとした光景
海の上ならではなスイカの使い方
この絵本のとてもおもしろいところは、スイカが海の上では意外な使われ方をするというところです。
普段は、スイカ割りや食べるために使うスイカ。
ですが、海の上だと話が変わってきます。
プカプカと、まるで小島のように浮いているスイカは、海の生き物が休憩するのにピッタリ。
枕にしたり、抱きついたりして、どの生き物も気持ちよさそうに休みます。
その姿を見ていると、スイカのスベスベ感やひんやり感が自然と頭に浮かんできます。
暑い夏に触った時の気持ちよさ。
抱きついた時のヒンヤリ感。
そんな、味以外の感覚と気持ちよさが蘇ってくるのです。
きっと、この感覚が浮かんでいるからなのでしょう。
子どもたちも、

冷たくて気持ちよさそう~



浮き輪みたい!



すべすべで気持ちいいよね~
と、海の生き物たちが感じる気持ちよさに、とても共感していました。
中には、飛び込みの練習に使うものもいますが、それもスイカのどっしり感にピッタリな使用感。
この、普段とはぜんぜん違う、海の上ならではなスイカの楽しく心地よい使い方を見られるのが、この絵本のとてもおもしろいところです。
クジラの優しくて意外なスイカの使い方
そんな色々な使い方をされてきたスイカですが、大きなクジラにはさすがにドキドキ。
枕にされても、抱きつかれても、飛び込み台にされても絶体絶命です。
でも、ここで予想外な優しい展開になるのも、この絵本の素敵なところ。
しかも、この展開が、これまでのスイカの働きと正反対になっているのがまた素敵。
ここまでスイカはたくさんの生き物たちを、自分の体で休ませてあげてきました。
けれど、クジラは違います。
むしろ、スイカのために自分の体を使ってくれるのです。
この展開が優しいだけじゃなく、スイカにとってもクジラにとっても、幸せで楽しそう。
このクジラの登場というドキドキする展開から、クジラにもスイカにも嬉しい、意外な結末が待っているところも、この絵本のとても微笑ましいところです。
広い海の中、小さなスイカが漂っているのんびりゆったりとした光景
さて、そんなスイカが海の上を旅するこの絵本。
見ているだけで、のんびりゆったり心を落ち着けてくれるのも、とても素敵で癒やされるところです。
というのも、この絵本の絵はほとんどが青い海。
そこに小さなスイカと、小さな海の生き物がぷかぷかと描かれています。
あとは、遠くの地平線。
つまり、見開き1ページの、7割くらいが青い海になっているのです。
そんな絵本を眺めていると、浜辺でぼーっと海を眺めている気分になってきます。
みなさんも、ただ海を見つめているだけで、心が落ち着く経験をしたことがありませんか?
海の持つ、ゆったりのんびり心を落ち着ける力。
それが、この絵本の広い海からも感じ取ることができます。
さらに、そこへのんびりと昼寝や休憩する生き物がいるのだから、癒し効果は爆増です。
この、優しい青で描かれた広い広い海を見ているうちに、なんだか気持ちがのんびりゆったり落ち着いてくるのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
海に浮かんで旅をするスイカの、海の生き物達による意外な使われ方がおもしろい。
本当に海に浮いているような、のんびりゆったり感とまさかな展開の楽しさを、両方味わえるスイカ絵本です。
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