作・絵:せなけいこ 出版:すずき出版
春になると見かけるフワフワの綿毛。
見つけると「ふー」っと息を吹きかけたくなります。
そんな綿毛を集めたら、みなさんはなにを作るでしょう?
この絵本のしろねこは・・・。
あらすじ
たんぽぽの綿毛を追いかけるしろねこ。
何かいいことを考えついたようで、綿毛をたくさん集めていきます。
布を縫い付け、中に綿毛を詰めると、素敵なお布団の完成です。
その布団の上で満足げに寝ていると、風が吹いてきました。
すると、布団が暴れ出し、ねこの乗った布団は窓から飛び出してしまいました。
空を飛んでいく布団。
やっと地面に着きました。
でも、布団の中から「地面に降りてたんぽぽになりたい」と声がします。
布団に詰められた綿毛たちでした。
それを聞いたしろねこは一体どうするのでしょう。
『たんぽぽねこ』の素敵なところ
- とっても気持ちよさそうな布団
- 布団になっても忘れない、綿毛ならではの動き
- 綿毛がたんぽぽの種だと自然にわかるようなお話
しろねこの思いついた、フワフワの綿毛の布団。
確かに綿毛には見かけたら触ったり、つついたりしたくなるフワフワな魅力があります。
そのフワフワを味わう理想形が布団なのかもしれません。
綿毛のフワフワを知っている人はその布団を見て、どれだけフワフワかが頭に浮かぶと思います。
それに加えて、しろねこの気持ちよさそうな表情。
自分も作りたくなること間違いなしです。
でも、綿毛は綿毛。
布団になっても風が吹くとその本能のまま、風に乗って飛んでいきます。
布団が飛んでいくだけだったら違和感がありますが、綿毛ということで「そりゃとんでっちゃうよね」という説得力があるから不思議です。
そして、このお話の特に素敵なのが、綿毛がたんぽぽの種だとわかりやすく教えてくれることです。
言葉で説明しても、たんぽぽと綿毛のあまりの形の違いに、たんぽぽの種だと実感がわかない子もいたりします。
そもそも知らない子も多いでしょう。
そんな中、この絵本を通すと視覚的にスッとわかるから不思議です。
綿毛からたんぽぽになる連続性が描かれているからかもしれません。
もしくは、綿毛が自分で話しているからかもしれませんね。
春の綿毛が飛ぶ時期に毎年読みたくなるお話です。
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