作:くすのきしげのり 絵:福田岩緒 出版:えほんの杜
楽しいとき、いつも一緒にいる友だち。
では、楽しくないときはどうでしょう。
辛いときは?怖いときは?
本当の友だちってどんな友だちなのでしょう。
あらすじ
夏休みのある日。
小学生の男の子、僕とマナブとヒデトシはラジオ体操の帰りにカブトムシのたくさんいる木を見つけた。
3人で木に登ってカブトムシをとっていると、「こらぁ!」とカミナリじいさんが怒鳴った。
カミナリじいさんはいつも怒っているおじいさんだった。
カブトムシのいる木はカミナリじいさんの家の木だったのだ。
最初にヒデトシが逃げ出した。
それに続き、僕とマナブも逃げ出した。
その時、ヒデトシがこけた。
僕とマナブはヒデトシを追い越して走った。
2人は空地まで逃げてきた。
でも、ヒデトシは来なかった。
2人はヒデトシが心配になった。
カミナリじいさんに捕まったのかもしれない。
2人は悩んで悩んで悩みぬいた。
そして、一緒に怒られるためカミナリじいさんのところへ戻ることにした。
カミナリじいさんの家ではヒデトシが捕まって泣いていた。
2人は意を決してカミナリじいさんに謝った。
とびきりでっかいカミナリが落ちるのを覚悟した。
3人の男の子たちの運命やいかに。
『ともだちやもんなぼくら』の素敵なところ
- 逃げてしまった罪悪感がとてもリアルに描かれている
- 謝りに行く怖さやドキドキもとてもリアル
- 読み終わったときに、とても爽やかな気持ちになる
この絵本の見どころはなんといっても、子どもたちの心情の描き方にあります。
友だちを裏切ってしまったことや、大きなことを謝ろうと決めたことがある人なら、きっと感じたことのある言葉にできない感情。
どんよりとして、心が重たくなるような感覚。
そんな心情を僕とマナブの会話で見事に描き出しています。
ヒデトシの泣き顔が頭から離れず、どんなに言い訳を考えてもすっきりしません。
グルグルグルグルと頭の中を回ります。
相談して、言い訳して、悩みぬいてついに謝りに行くことに。
ですが、決心しても怖いものは怖い・・・。
その足取りは重く、できれば行きたくないという気持ちがひしひしと伝わってきます。
そんな重く、苦しい時間の果てについに意を決して飛び込んだ2人。
そこには裏切らずに謝った、清々しさや爽やかさが溢れています。
そんな、悪いことをしてしまった後の苦い気持ちと、それにしっかり向き合った後の爽やかな気持ちを味あわせてくれる絵本です。
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