あめのひのピクニック(3歳~,絵本,くまのアーネストおじさん)

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作:ガブリエル・バンサン 訳:もりひさし 出版:BL出版

楽しみなピクニックの日に天気は雨。

中止がどうしても受け入れられません。

そこで、「晴れているつもり」の雨ピクニックを決行することに。

原っぱにテントを立てれば、楽しくて変わったピクニックの始まりです。

目次

あらすじ

ある夜、子ねずみのセレスティーヌと、クマのアーネストおじさんは翌日のピクニックの準備をしていました。

サンドイッチを作り、荷物をまとめて、朝早く出かけられるようにしておきます。

しかし、翌朝目が覚めると、外は雨。

アーネストおじさんから、ピクニックの中止を告げられてしまいます。

悲しんだり、怒ったり、恨めしそうに外を見たりと、どうしても納得いかないセレスティーヌ。

見かねたアーネストおじさんが、今日はとてもいい天気というつもりになることを提案してくれました。

アーネストおじさんの提案を聞いて、セレスティーヌはパッと笑顔に。

2人はさっそくピクニックの準備を始めます。

日よけの帽子を持って、カッパを来て、傘を持ったら、ピクニックに出発です。

強い雨の中、2人は歩いていきました。

2人は、とてもよい原っぱを見つけ大喜び。

さっそく、雨宿りのテントを立て、サンドイッチを食べ始めました。

お腹もいっぱいになり、テントでくつろぐ2人。

そこへ、誰かの足音が近づいてきます。

やってきたのは、地主のクマ。

ここは自分の土地だから、出ていいてくれと言いに来たのです。

すると、アーネストおじさんは、地主のクマに追い出さないでほしいと頼んでみました。

話を聞いた地主のクマは、今回限りとピクニックすることを許してくれたのでした。

地主のクマは、いい歳をして子どもじみた遊びをするアーネストおじさんに呆れながら帰ろうとしましたが、引き止めるセレスティーヌとアーネストおじさん。

仕方なく、地主のクマがテントの中でお茶をもらうと話が弾み、とても楽しい時間になったのでした。

ピクニックも終わり、帰り支度をする3人。

でも、その帰り道、素敵で意外な展開に・・・。

おしまい!

『あめのひのピクニック』の素敵なところ

  • 子どもの心に寄り添ってくれるアーネストおじさんの柔軟で素敵な提案
  • 晴れの日よりもなんだか楽しそうに見える雨の日のピクニック
  • 2人の屈託ない性格が引き寄せた新たな出会いと意外な結末

子どもの心に寄り添ってくれるアーネストおじさんの柔軟で素敵な提案

この絵本のなにより素敵なところは、セレスティーヌの心に寄り添ってくれる、アーネストおじさんの優しくユーモア溢れる姿です。

サンドイッチまで準備して、楽しみにしていたピクニック。

そのピクニックが、朝突然中止になったら受け入れられないのは当たり前。

もちろん、セレスティーヌも心の底では、窓の外の強い雨を見てわかってはいるのでしょう。

でも、感情は納得できません。

中止という言葉を聞いた時の絶望的な表情。

腕を組んで怒りをあらわにする姿。

恨めしそうに眺める窓の外。

突っ伏して泣く悲しそうな姿。

悲しみのあまり、ぐちゃぐちゃになっている心模様が、これでもかとセレスティーヌの姿にあらわれています。

このセレスティーヌの姿は、まさに子どもが感情的になった時そのもの。

大人であればリアルな子どもの感情表現にくすりとしてしまい、子どもなら自分と重ね合わせとても感情移入してしまいます。

かわいそう・・・

行きたかったよね・・・

と、セレスティーヌの心が自分ごとのように伝わっている様子でみんなどんより。

絵本と同じ空気が流れていました。

そんな心の整理がつかないセレスティーヌの姿を、アーネストおじさんは見守ります。

きっと、セレスティーヌが気持ちを切り替えることができるか見守っていたのでしょう。

セレスティーヌの感情が様々に変化する姿から、声をかけるまでの時間の経過が感じられます。

見守った結果、アーネストおじさんはピクニックの決行を決意し、セレスティーナに声をかけます。

ここで、

「ピクニックに行こう」

というストレートな解決策ではなく、

「今日はとてもいい天気だっていうつもりになるのさ」

と、ユーモア溢れ想像力が広がる言葉をかけるのが、アーネストおじさんの素敵なところ。

「それでピクニックに出かけるのね、私たち」

と、シクシクと泣いていたセレスティーヌも、コロッと笑顔になりあっという間にアーネストおじさんの楽しそうな想像の世界に引き込まれてしまいます。

きっと、「じゃあピクニックに行こう」と言われていたら、ここまで晴れやかな気分にはならなかったことでしょう。

ピクニックいけるんだ!

よかったー!

と、子どもたちもまるでセレスティーヌのように晴れやかな笑顔。

セレスティーヌがたくさんいるようでおもしろい光景でした。

この、子どもの世界と心を大切にしているのが伝わってくる、アーネストおじさんの見守り方や寄り添い方が、この絵本のとても素敵なところです。

もし、見守る中でセレスティーヌが気持ちを自分で切り替えたのなら、アーネストおじさんはそれに合わせ、家の中でのピクニックごっこなどまた違った楽しい提案をしてくれたんだろうなぁと思わせてくれますね。

晴れの日よりもなんだか楽しそうに見える雨の日のピクニック

こうして、アーネストおじさんの提案で、「晴れのつもりピクニック」へ行くことに。

カッパを着て、傘はさしているけど、気分はすっかりいい天気。

この気持ちの晴れやかさと、横殴りの雨のギャップになんだかワクワクしてしまいます。

騒がしい大雨の中、テントの中でくつろぐ穏やかで楽しい時間。

まるで雨の中のテントは2人だけの秘密基地みたいです。

長靴を脱ぎ、日よけの帽子を被り、アーネストはサングラスまでしてくつろぐ姿を見ていると、テントの中だけ晴れているみたい。

やっぱり、外の大雨とのギャップで、とても楽しそうに見えてきます。

雨のほうが楽しそう!

一緒にサンドイッチ食べたーい!

と、子どもたちもワクワクした表情で、2人のピクニックを見守ります。

そこには晴れの日の開放感抜群のワクワク感とはまた違う、密やかなワクワク感が漂っているからおもしろい。

布団の中にお菓子とマンガを持ち込んでいる時のような、独特のワクワク感が雨の日のピクニックからは漂っているのです。

この、雨とピクニックという対象的なものが組み合わさっているからこその、いつものピクニックとは違う秘密基地のようなワクワク感を味わえるのも、この絵本のとても素敵なところです。

2人の屈託ない性格が引き寄せた新たな出会いと意外な結末

さて、雨の中で楽しくピクニックをしてる2人の元に来客が訪れます。

やってきたのはまさかの地主。

2人のいた原っぱは、地主のクマの所有地だったのです。

こんなにもユーモア溢れる物語の展開から、こんなに世知辛いことを言われるとは誰が想像できたでしょう。

無断で野営をしている人さながら、地主のクマに叱られてしまいます。

でも、ここで感情的にならないのが、この2人のとても素敵なところです。

怒ったり、悲しんだり、悪びれるわけでもなく、ちゃんと謝りつつもお願いして、平和的にピクニックを継続できるように努力するのです。

まさに理想的なコミュニケーション。

見習うべき大人の姿をアーネストおじさんは体現してくれています。

しかも、それだけにとどまらず、一緒にお茶に誘うのだからなんとも人懐っこく屈託のない性格。

普通は、叱られたら早く離れたいと思うものですが、アーネストおじさんもセレスティーヌも、叱られたことなどなかったように、満面の笑顔でテントへ招き入れるのです。

これには子どもたちも、

えー!?大丈夫かな?

また怒られないかな・・・?

と心配そうに見守っていました。

でも、この当たり前のような楽天家ぶりや屈託のなさが、なんともこの2人らしく、くまのアーネストおじさんシリーズらしいところです。

招かれた地主のクマは「子どもじみた遊び」と一蹴していたのに、一緒に過ごしてみると「いやあ、楽しかったですなあ」とご満悦。

すっかり、アーネストおじさんとセレスティーヌのファンになってしまった地主のクマに、

優しいクマさんだったね!

と一安心。

話してみないとわからないもんだなぁと実感させてくれる場面です。

さらに、この偶然の出会いが2人のピクニックを思いも寄らない結末へと導くからおもしろい。

雨で中止になるはずだったピクニックが、アーネストおじさんとセレスティーヌのなんでも楽しんでしまう気持ちから、どんどん楽しいことや出会いへ繋がっていく展開も、この絵本のとても素敵なところです。

ぜひ、予想のつかない最後の素敵な展開を確かめてみてくださいね。

二言まとめ

大雨の中でピクニックをするという、まるで秘密基地で遊ぶようなワクワク感がとても楽しい。

アーネストおじさんの気遣いと優しさに、大雨の日でも心がパッと明るくなる雨の絵本です。

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登る保育士ホイクライマー
保育士
絵本大好きなクライミングが趣味の保育士/保育士歴12年/クライミング歴10年
年間200冊以上読み聞かせをしてきた経験を元に、絵本の紹介をしています。
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