作・絵:間瀬なおかた 出版:金の星社
誰もが聞いたことのある昔話。
ももたろう、おおきなかぶ、シンデレラなどなど。
じゃあ、その昔話が地続きになっていたら・・・?
そんな夢のような国を走る列車がありました。
あらすじ
たくさんの乗客を乗せて、おとぎ列車が出発しました。
トンネルを抜けると、そこは日本のおとぎ駅でした。
山にはカチカチ山、海には鬼が島、川には桃が流れ、木の上でははなさかじいさんが桜を咲かせています。
列車は進み次のトンネルを抜けると、外国のおとぎ駅でした。
畑では大きなかぶを引っ張り、空を魔女が飛び、道をかぼちゃの馬車が走っています。
さらに次のトンネルを抜けると、海賊の宝島駅でした。
そこではピーターパンが戦い、ピノキオがクジラから脱出しと、海の物語が。
次のトンネルの先は海の中の竜宮城駅。
その後も、空の駅、宇宙の駅など盛りだくさんの内容です。
この列車の終点は一体どんな駅なのでしょうか。
『おとぎれっしゃしゅっぱつしんこう!』の素敵なところ
- トンネルから次の国が見えるワクワクの仕掛け
- 大きなくくりでおとぎ話を楽しめる駅の数々
- まさかのこの列車の正体
この絵本には小さな仕掛けがあります。
その仕掛けはすべてのページに穴が開いていることです。
駅からの穴はトンネルに繋がっています。
そのトンネルに入ると、入ってきた穴からは前にいた国が見え、先の穴からは次の国がちらっと見えます。
お城が見えたり、飛行機が見えたり。
「次はどんな駅に着くんだろう」とワクワクする仕掛けです。
そんなワクワクする仕掛けを活かすのが、バリエーション豊富な駅の数々。
最初の頃はなんとなく予想できるのですが、空や宇宙になってくるとおとぎ話との連想が出来ません。
トンネルの中から「え?宇宙???」となったり多々混乱が見られます。
でも、予想がつかないからこそ、ワクワク感も高まり盛り上がります。
そして、関係ないと思いきや、ちゃんとおとぎ話に大きなくくりでは関係している駅になっていたりします。
空の駅では飛行機の歴史が見られたり、宇宙の駅では月にかぐや姫とウサギがいたり。
現実の史実とおとぎ話の世界が、地続きに描かれているのも本当におもしろい。
さて、こんな夢のような列車にも終点があります。
そこでは驚きの全容が明かされます・・・。
夢のような旅から、まさかの結末が待っている。
そんな一癖ある絵本です。
コメント