作:エマヌエラ・ブッソラーティ 訳:谷川俊太郎 出版:集英社
聞いた時に、つい自分も口にしたくなる言葉があると思います。
語感やリズムの心地よさに、聞いても言っても楽しくて気持ちいい。
そんな言葉がたくさん詰まった、意味なんか考えなくても楽しい絵本です。
あらすじ
現れたのはピリプ一家。
父さん、母さん、姉さん、兄さん、末っ子の5人家族。
木になっている実を見つけたピリプ一家は、末っ子だけ置いて木に登り、実を食べ始めました。
置いていかれた末っ子は怒って、勝手に遊びに行ってしまいました。
ヒョウの赤ちゃんを見つけたのでいたずらすると、ヒョウの母さんが現れました。
急いで逃げ出すピリプ末っ子。
でも、転んでしまって大号泣。
ですが、木の実を見つけると泣き止みパクリ。
おいしくてもう一つ食べようとしたところには大きなヘビ!
そこにゾウが現れてヘビを踏んづけ助けてくれました。
日が暮れてきたので、迷子になってしまった末っ子はゾウの鼻の上で眠ります。
翌朝、ゾウと一緒に家族を探しに出かけました。
ピリプ末っ子は無事、ピリプ家族の元へ帰れるのでしょうか。
『タラリタラレラ』の素敵なところ
- 小さな末っ子の大冒険と成長
- 心地の良いオノマトペ
- 声に出す気持ちよさを思い切り感じさせてくれる。
赤ちゃん扱いされている末っ子の大冒険の物語。
いたずらしたり、転んだり、泣いたり、立ち直ったりしながら、ゾウの助けも借りつつ、赤ちゃんからほんの一歩大きくなっていきます。
小さい子は自分と重ね合わせ、大きい子は小さい子を見るような目線で見られるのが素敵です。
小さい子は目を輝かせ一緒に冒険しているよう。
大きい子は「大丈夫かな?」「危ないよ!」と弟や妹を心配するようです。
そんな見方に幅のある絵本ですが、みんなが同じように楽しめるのが独特の文章です。
オノマトペ(擬音語、擬態語)がふんだんに使われていて、聞くだけでおもしろい。
口に出すともっとおもしろい直感的な作りになっています。
タイトルや文章の冒頭につけられる「タラリタラレラ・・・」
逃げてきて転ぶときは
「さっさ さっさ さっさ さ・・・ パム!パム!パタム パタパム・・・ ドスン!」
ゾウは見るからにゾウですが作中では「ゴネンデ」と呼ばれています。
まだまだたくさんのオノマトペが、わかりやすく、リズムのいい文章に散りばめられていて、言葉がわからなくても、直感的に楽しめるようになっています。
そして、聞いていると自分も言ってみたくなり、気付けば声に出しています。
これは心が「気持ちいい、楽しい!」と言っている証拠です。
そんな、細かいことは気にせずに、本能的に楽しくって気持ちいい絵本です。
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