作:まつおりかこ 出版:岩崎書店
いつも大好きなお母さん。
でも、すれ違うこともあります。
そんな時、大切なのは言葉と行動。
それを教えてくれる温かな絵本です。
あらすじ
子ウサギの女の子フウは朝目を覚ますと、元気に飛び起きました。
お母さんの所に行くと、朝の準備に忙しそうです。
今日は友だちの子ネコのミイちゃんのうちに遊びに行くので、フウはとても楽しみ。
お母さんにミイちゃんのうちへ迎えにきてもらう約束もしました。
幼稚園に着くとお母さんは仕事に行きます。
幼稚園ではお絵かきに日でした。
テーマは「大好きな人」
フウもミイちゃんもお母さんを描きました。
お母さんに見せるのが楽しみです。
幼稚園が終わり、ミイちゃんの家に遊び行きました。
ミイちゃんはさっそくお母さんに絵を見せています。
ミイちゃんの家ではお母さんとミイちゃんが作ったクッキーを食べました。
その後、遊んでいると、玄関のチャイムが鳴りました。
フウはお母さんだと思いましたが、迎えに来たのはおばあちゃんでした。
お母さんは急な仕事で遅くなるというのです。
ご飯を食べ、お風呂に入り、寝る時間になってもお母さんは帰ってきませんでした。
フウは帰ってくるまで起きていようとしましたが、気付いたら朝でした。
急いでお母さんに絵を見せに行きましたが、お母さんはまだ寝ていました。
フウはお母さんに朝ごはんを用意してあげようと思い、冷蔵庫から牛乳を取り出しました。
しかし、牛乳をこぼしてしまい、絵がぐっしょりと濡れてしまったのです。
物音に気付いて起きてきたお母さんにフウは言いました。
「どうしてお母さんはフウと一緒にいてくれないの。フウのことが好きじゃないの。フウはお母さんとずっと一緒にいたいのに!!」と。
そして、わんわんと大きな声で泣きました。
そんなフウにお母さんはなんと声をかけるのでしょうか。
『たからもののあなた』の素敵なところ
- 幼稚園や保育園に通っている子の素直な気持ち
- それに対するお母さんの素直な気持ち
- お母さんや子どもに自分も気持ちを伝えたくなる
幼稚園や保育園で両親と離れて過ごす子の抱く気持ち。
「もっと両親と一緒にいたい」
もちろん遊び始めたら楽しいし、迎えに来ても「まだ遊びたい」と言い出したりします。
朝、「行かないで!」と泣く子も珍しくありません。
この絵本のフウはそんな気持ちを、思い切り代弁してくれます。
心の奥底には思っていても、中々口にはしない思いを、大声で言ってくれます。
それを聞いたお母さんもしっかりと言葉と行動で示してくれます。
普段思っていても、中々伝えられない思いをフウに伝えてくれます。
それはフウを通して、見ている子どもたちにも伝わります。
そんな二人のやり取りをみていると、自分も大好きだという気持ちをしっかりと伝えたくなります。
この絵本を読んだ年長さんは、担任の先生に「大好き」という手紙を書いたりもしていました。
普段言えない素直な気持ちを、フウを通して伝えてくれる。
とっても温かく優しい絵本です。
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