作:戸田和代 絵:よしおかひろこ 出版:岩崎書店
カエルが営んでいる傘屋さん。
でも、カエルは濡れても全然平気。
なので、お客さんは中々来ません。
カエルにぴったりの傘なんてあるのでしょうか・・・。
あらすじ
雨の朝。
カエルの傘屋さんは雨の音で目を覚ましました。
急いでお店に傘を並べます。
傘屋さんは雨の音を聞きながら、朝の支度をします。
カエルの傘屋さんにはお昼になってもお客さんが誰も来ません。
なぜなら、カエルは雨が好きだから。
傘なんていらないのです。
そこで、傘屋さんは傘をさして出かけることにしました。
傘屋さんは傘にあたる雨の音が大好きなのです。
散歩をしていると、カエルのお母さんやトカゲ、つゆ草などに出会いました。
みんなに傘を勧めてみても、みんなにいらないと言われてしまいました。
しょんぼりしながら店に帰ると、新しい傘づくりを始めました。
すると、お店のドアが開き、お得意さんのハリネズミさんが入ってきました。
ハリネズミさんはたくさんの傘を持ってきました。
全部修理してほしいというのです。
ハリネズミさんが傘をさすと、背中のとげで傘に穴があいてしまうのでした。
傘屋さんが穴のあいた傘をさしてみるとすごい雨漏り。
でも、傘屋さんはその傘が気に入りました。
大量の穴のあいた傘を一体どうするのでしょうか。
『かえるのかさやさん』の素敵なところ
- 傘の必要がないカエルが傘屋をやるという、逆転の発想から生まれる物語
- 雨音の楽しさが詰まっていて、傘をさして出かけたくなる
- 見方によってどんなものも必要なものになる
濡れるのが大好きなカエルが、濡れないための傘を売る。
そんな不思議な設定の物語。
子どもたちも「そりゃ、お客さん来ないよね」と納得。
でも、だからこそどうなるのかが気になって仕方ありません。
もう、この設定の時点で先が気になるのです。
そんなカエルがなんで傘屋さんを始めたか。
そこには雨音への熱い思いがありました。
雨の日の色々な雨音も落ち着きます。
でも、傘を差すとまた違った趣が。
傘屋さんが語る、その音の素敵さや楽しさを聞いていると、自分も実際にその音を聞きたくなってきます。
傘を差して、その音に耳を傾けたくなるのです。
そして、そんな思いのこもった傘が売れて欲しいなと思い始めるのです。
そんな中、ハリネズミさんの穴あき傘を見て、差して閃いた新商品。
一見したらただ壊れているものも、見方を変えると素敵な商品に早変わり。
世界の見方を優しく広げてくれるのです。
そんな、逆転の発想から始まる、傘を差して歩きたくなる絵本です。
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