かえるのかさやさん(4歳~)

絵本

作:戸田和代 絵:よしおかひろこ 出版:岩崎書店

カエルが営んでいる傘屋さん。

でも、カエルは濡れても全然平気。

なので、お客さんは中々来ません。

カエルにぴったりの傘なんてあるのでしょうか・・・。

あらすじ

雨の朝。

カエルの傘屋さんは雨の音で目を覚ましました。

急いでお店に傘を並べます。

傘屋さんは雨の音を聞きながら、朝の支度をします。

カエルの傘屋さんにはお昼になってもお客さんが誰も来ません。

なぜなら、カエルは雨が好きだから。

傘なんていらないのです。

そこで、傘屋さんは傘をさして出かけることにしました。

傘屋さんは傘にあたる雨の音が大好きなのです。

散歩をしていると、カエルのお母さんやトカゲ、つゆ草などに出会いました。

みんなに傘を勧めてみても、みんなにいらないと言われてしまいました。

しょんぼりしながら店に帰ると、新しい傘づくりを始めました。

すると、お店のドアが開き、お得意さんのハリネズミさんが入ってきました。

ハリネズミさんはたくさんの傘を持ってきました。

全部修理してほしいというのです。

ハリネズミさんが傘をさすと、背中のとげで傘に穴があいてしまうのでした。

傘屋さんが穴のあいた傘をさしてみるとすごい雨漏り。

でも、傘屋さんはその傘が気に入りました。

大量の穴のあいた傘を一体どうするのでしょうか。

『かえるのかさやさん』の素敵なところ

  • 傘の必要がないカエルが傘屋をやるという、逆転の発想から生まれる物語
  • 雨音の楽しさが詰まっていて、傘をさして出かけたくなる
  • 見方によってどんなものも必要なものになる

濡れるのが大好きなカエルが、濡れないための傘を売る。

そんな不思議な設定の物語。

子どもたちも「そりゃ、お客さん来ないよね」と納得。

でも、だからこそどうなるのかが気になって仕方ありません。

もう、この設定の時点で先が気になるのです。

そんなカエルがなんで傘屋さんを始めたか。

そこには雨音への熱い思いがありました。

雨の日の色々な雨音も落ち着きます。

でも、傘を差すとまた違った趣が。

傘屋さんが語る、その音の素敵さや楽しさを聞いていると、自分も実際にその音を聞きたくなってきます。

傘を差して、その音に耳を傾けたくなるのです。

そして、そんな思いのこもった傘が売れて欲しいなと思い始めるのです。

そんな中、ハリネズミさんの穴あき傘を見て、差して閃いた新商品。

一見したらただ壊れているものも、見方を変えると素敵な商品に早変わり。

世界の見方を優しく広げてくれるのです。

そんな、逆転の発想から始まる、傘を差して歩きたくなる絵本です。

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