作:杉田比呂美 出版:アリス館
夏の風物詩である夕立。
急にザーッと降る雨は、困り者だけどどこか憎めない。
そんな夕立の困ったところ、楽しいところが詰った絵本です。
あらすじ
ゆきちゃんとお父さんは買い物に出かけました。
暑い夏の午後です。
真っ青な空の下で買い物をしていると、突然足元から影がなくなりました。
空を見ると灰色の雲が空を覆っています。
すると、ぽつんと雨が降ってきて、段々雨脚が強くなっていきます。
ゆきちゃんとお父さんは喫茶店に入り雨宿りをすることに。
町のみんなも大慌て。
洗濯ものを取り込んだり、傘を出したり。
そうしている間に、雨は激しく降り始めました。
夕立が気になったゆきちゃんは、喫茶店の外に出て雨を触ってみることにしました。
まるでシャワーみたいです。
お父さんが慌てて連れ戻しました。
夕立の町は大騒ぎ。
町を歩く人はバシャバシャ足音をさせ、排水溝からは水が溢れ、雨どいからは滝のような水。
ゆきちゃんは喫茶店でパフェを食べご機嫌でしたが、食べ終わり飽きてくると夕立がずっと続くのではないかと心配になってきました。
すると、雨が弱まって青空が戻ってきました。
家に帰るゆきちゃんとお父さん。
夕立の後の帰り道には素敵な変化が待っています。
『ゆうだちのまち』の素敵なところ
- 目と耳で雨の降り方を感じさせてくれる
- 夕立の中を歩いてみたくなる
- 雨上がりだけの素敵な体験
この絵本の素敵なところは、夕立を体験させてくれるところです。
雨の降り始めから、本降りになるまでの移り変わりなどを擬音と絵を使い、目と耳で感じさせてくれます。
降り始めは「ぽつん」と雨粒が一滴ずつ降ってきます。
次第に雨粒が多くなり「ぽ・ぽ・ぽつん」「ぽつん・ぽつん・ばらばらばら!」
そして本降りになると「ざあざあざあ・ざんざんざん!」
その様子と移り変わりにとても臨場感があり、本当に夕立に会ったような感覚になるのです。
そんな中、描写される夕立の町。
ゆきちゃんが雨のシャワーを浴びたり、雨どいをすごい勢いで水が流れたり、排水溝から水が溢れたり。
それらの描写も絵と音が組み合わさって、実際に見たりやってみたくなるのです。
そんな魅惑的な夕立ですが、雨が上がったあとにも楽しみを残してくれています。
それはとても不思議で幻想的なものばかり。
雨上がりに散歩に行った時に「夕立の町みたい!」「あ、これ絵本に出てた!」
と、子どもたちから発見を伝える声の数々が。
子どもたちの中に、しっかり残っていたみたいです。
本当に夕立に会ったような気持ちにさせてくれる不思議な絵本です。
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