かこちゃんはひとりっこ(3歳~)

絵本

作:石津ちひろ 絵:高畠那生 出版:好学社

一人っ子だと、姉弟が羨ましくなる時があります。

一緒に遊んだり、じゃんけんしたり、取り合いのけんかだって羨ましい。

でも、誕生日の日は特別。

みんな来てくれるから、一人っ子だと普段出来ないことも出来るんです。

あらすじ

カバのかこちゃんは一人っ子。

兄弟のいる友だちが羨ましい。

ライオンのらんちゃんは弟と妹がいて楽しいことが出来る。

クマのげんくんとごんくんは双子だから、いつも二人で遊べる。

一人っ子だといつも一人ぼっちでつまらない。

おやつの時にじゃんけんで大きいのを取りっこしてみたい・・・。

そんなかこちゃんですが、誕生日会では一人ぼっちじゃありません。

最初に家に来たのは、ライオンのらんちゃん兄弟に、クマの双子げんくんとごんくんでした。

次にいつも手紙をあげているヤギさん。

そして、水泳教室で一緒のトドさん。

さらに、相撲教室で一緒のリスさんとパンダさん。

子守唄を歌ってあげているヒツジさんまで。

かこちゃんの家はお客さんでいっぱいになりました。

ひとりぼっちじゃない誕生日会で、かこちゃんがやりたいこととは。

『かこちゃんはひとりっこ』の素敵なところ

  • ひとりっこにしかわからない悩みや憧れ
  • ついにかこちゃんの憧れのあれが実現する
  • よく見るとおもしろすぎるシュールな絵

兄弟なら当たり前の、一緒に遊んだり、じゃんけんしたり、取り合いをすること。

でも、一人っ子からするとどれもとっても羨ましいのです。

友だちと別れたら、あとは次の日まで子どもと会うことはありません。

一緒にも遊べないし、おしゃべりも出来ないし、けんかだって出来ません。

夜でも遊べる兄弟なんて夢のようです。

そんな気持ちが、かこちゃんの言動から痛いほど伝わってくるのです。

そんなかこちゃんも誕生日はみんな一緒です。

みんなが集まると、かこちゃんがどうしてもみんなとやりたかったことが実現します。

そのセリフを言う時の、かこちゃんの嬉しそうな顔といったら。

興奮し本当に嬉しいのが、その表情や動きから伝わってきます。

さて、そんな一人っ子の悩みに真摯に向き合う本作ですが、絵はけっこうシュールです。

設定も中々シュールです。

文章は真面目なのに、絵で笑わせてくるところも多いのです。

まず、かこちゃんの家の設定です。

カバなので外に住んでいます。

でも、家なのでドアがいります。

だから、草原にドア枠だけ置いてあるのです。

誕生日会に来るみんなは、ちゃんとドア枠を通って入ってきます。

しかし、トドの勢いが強すぎて、ドア枠が壊れます。

でも、ちゃんと壊れたドア枠を通って入ってきます。

家の設定だけでも、これだけ盛り沢山なのですが、場面ごとの動物たちの動きや表情、かこちゃんのママの行動など、いたるところで笑わせてこようとします。

中身は一人っ子の悩みを真剣に描きつつ、絵や設定で笑わせに来る。

新しいタイプの絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました