文:ロバート・カラン 絵:バイロン・バートン 訳:松川真弓 出版:評論社
池に住むカエル。
そんなカエルのまわりには危険な生き物たちがたくさん・・・。
その生き物たちから逃げる姿と、逃げるたびに積み重なっていく文章が楽しくておもしろい。
癖になる絵本です。
あらすじ
ある池に、水から上がってきたトンボがいました。
そのトンボの下を泳いでいるカエルが、跳んでトンボを食べました。
水に戻ると、魚がカエルを追いかけてきました。
跳んで逃げると、今度はヘビがカエルのことを狙っています。
カエルは跳んで逃げました。
するとカメが現れて、カエルに近づいてきたので、跳んで逃げました。
色々な危険がカエルを襲いますが、そのたびに跳んで逃げます。
無事にすべての危険から逃げ切れるのでしょうか。
『とべ、カエル、とべ!』の素敵なところ
- 「とべ、カエル、とべ!」の決まり文句を使った繰り返し
- 危機を乗り越えるたびに積み重なっていく文章
- 最期はまさかの「とべ、カエル、とべ!」
この絵本はカエルを様々な危険が襲いますが、全て跳んで回避します。
その時の決まり文句が「とべ、カエル、とべ!」。
ついつい一緒に言いたくなってしまいます。
また、ページの構成も「とべ、カエル、とべ!」を全力で言いたくなるように出来ています。
危険が迫った時にページをめくると、見開きいっぱいにカエルが躍動的に跳ぶ姿と「とべ、カエル、とべ!」の文字が広がるのです。
さて、そんな決まり文句だけじゃなく、普通の文章にも魅力的な秘密があります。
それはどんどん文章が積み重なっていくのです。
最初は「これは、トンボ。水から上がってきたところ。」という一文から始まります。
次に「これは、カエル。水から上がったトンボの下で、泳いでいるカエル。」と続きます。
今度は「これは魚。水から上がったトンボの下で、泳いでいたカエルの後を、追いかける」とさらに続きます。
これが、全場面繋がって、重なっていくのです。
どんどん増えるたびに「また!?」「繋がってる!」と子どもたちも叫んだり、笑ったり。
言葉遊びを感覚で楽しんでいるみたいでした。
そんな文章と構成がおもしろいこの絵本ですが、最後はカエルに絶体絶命の危機が訪れます。
これは、跳ぶだけでは脱出出来そうにありません。
そんな時、まさかの「とべ、カエル、とべ!」が!
ハラハラドキドキと、言葉遊びの面白さが見事に融合した、みんなで読みたくなる絵本です。
コメント