作:シゲリカツヒコ 出版:ポプラ社
空から轟音とともに降ってくる雷。
でも、雷と一緒に降ってきたのは赤ん坊でした。
そんな赤ん坊と少年の冒険が今始まります。
あらすじ
学校の帰り道に夕立が降ってきた。
男の子が一本杉の下で雨宿りをしていると、轟音とともにでっかい赤ん坊が落ちてきた。
赤ん坊は太鼓が壊れたと泣いている。
男の子は逃げたが、赤ん坊は追いかけてきた。
家に入るが、赤ん坊の姿は家族には見えていなかった。
翌日、学校にも赤ん坊はついてきた。
授業中に暇そうにしている赤ん坊。
でも、赤ん坊が太鼓を人たたきすると、教室に雷が落ちて、みんなの頭がちりちりになった。
早く家に帰さないと大変だと思い、図書室で雷小僧のことを調べた。
すると、一冊の本に雷小僧のことが書いてあった。
そこには赤ん坊が落ちてきた一本杉が載っていた。
一本杉に行き、2人で木を登っていく。
木にかかった大きな雲を越えると、そこは雷の国だった。
そこにはたくさんの雷小僧と、お父さんである雷様がいた。
雷様と雷小僧が仕事に行くと言うので、男の子もついていくことにした。
雷様の仕事を上手く手伝うことが出来るのでしょうか。
『カミナリこぞうがふってきた』の素敵なところ
- 物凄くリアルな絵
- 雷が落ちると、頭がアフロになるという鉄板のギャグ
- 自分で雷を落とすと言うワクワク感
この絵本は表紙からもわかるように、とても写実的に描かれています。
特に雷小僧や雷様などの空想の人物もとてもリアルです。
雷小僧が泣いたり、あくびをしたり、牛乳を飲む姿は本当の赤ん坊のようでとても愛くるしいです。
そんなリアルな絵が、この非現実的なストーリーとピッタリ。
物語への不思議な没入感を生んでくれるのです。
また、この絵本では「雷が落ちると、髪の毛がチリチリのアフロになる」という昭和から続く往年のギャグが散りばめられています。
雷小僧が落ちてきたときには自分が。
教室で太鼓を鳴らした時には教室の人全員がアフロになります。
ここでもリアルな絵が活きてきます。
リアルすぎて、ギャグなのか一瞬混乱するレベルです。
そのアフロを見た他の人の反応や感想もリアルなのがそれに拍車をかけています。
だからこそ、シュールな面白さがプラスされているのですが。
そんなこんなでたどり着いた雷様の国。
ここからのワクワク感はたまりません。
特に、仕事を手伝うことになり、雲に乗って太鼓を鳴らし、雷を落とす様は迫力満点。
本当に空を飛んで、町を見下ろしている気分になります。
それも、きっとこのリアルな絵だからこそでしょう。
リアルすぎる絵で体験する非日常。
それはまるで、自分がその世界にいるような錯覚を与えてくれます。
男の子と一緒に、目も心も冒険できる絵本です。
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