作:せなけいこ 出版:童心社
怖い怖い化け物屋敷。
そんなところにおじいさんが一人で引っ越しました。
次々に現れる化け物たち。
しかし、化け物たちを待っていたのは予想外の展開でした・・・。
あらすじ
昔、とても人使いの荒いおじいさんがいました。
使用人のごんすけは、いつもたくさんの仕事を言いつけられていました。
このおじいさんが引っ越しをすることになりました。
引っ越し先は、化け物が出ると言う家でした。
これはたまらんと、ごんすけは逃げ出してしまいました。
その晩、おじいさんが本を読んでいると、どこからか生暖かい風が吹いてきました。
みると、行燈のそばに綺麗な女の人が。
女の人はにっこり笑うと、首がするする伸びました。
ろくろっくびだったのです。
しかし、おじいさんは全く怖がりません。
そこで、ろくろっくびが障子を開けました。
そこにはたくさんのオバケたち。
でもやっぱり、おじいさんはちっとも驚きません。
驚くどころか、オバケたちに仕事を言いつけ始めました。
おじいさんとオバケたち。
一体どうなってしまうのでしょう。
『ばけものづかい』の素敵なところ
- せなけいこさんのわかりやすく、愛嬌のある文章
- 困ったところがかわいらしいオバケたち
- 深く意味がわからんくても楽しめて、深く意味が分かるともっと楽しめる古典
この絵本は古典を元にした絵本です。
オバケより人間の方がよっぽど怖いという笑い話です。
そんな古典も、せなけいこさんにかかると、小さな子でも楽しめるおばけ絵本に早変わり。
無駄のない、とてもわかりやすい文章。
わかりやすいだけでなく、どこか愛嬌があるところがまた素敵です。
オバケたちにも愛嬌があり、おじいさんに働かせるオバケたちの困った様子が健気です。
このオバケたちを眺めているだけでもとっても楽しい。
小さい子も「ろくろっくびだ!」「一つ目小僧もいるよ!」と、慣れ親しんだオバケたちに大喜び。
そんな純粋なオバケの絵本としても楽しめますが、もちろん深い意味まで分かった方がより楽しめます。
自信満々に驚かしに来たオバケが、おじいさんの化け物使いの荒さに逃げ出していく。
この構図におもしろさを感じる年代であれば、より深く楽しめると思います。
少し複雑な構図を持つ古典作品を、小さな子はおばけ絵本として、大きな子は古典のおもしろさをしっかり堪能できるお話として、幅広く読めるように描かれた絵本です。
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