たのきゅう(5歳~)

絵本

文:小沢正 画:太田大八 出版:教育画劇

どんな人にも変身してしまう役者。

その技は、怪物をも楽しませるほどの妙技です。

そんな役者と怪物との軽妙な駆け引きが始まります。

あらすじ

昔あるところに、たのきゅうという若者がいた。

その若者は役者をしていたが、母が病気だと言う知らせを聞き、村へ帰ることにした。

暗くなりかけた山道を歩いていると、突然目の前に大きなうわばみが現れた。

うわばみはたのきゅうが役者だと知ると、興味が湧き、姿を変えてみろと言ってきた。

たのきゅうが侍の姿に化けてみると、うわばみは大喜び。

他にも見せろと言う。

そこで、女、ひょっとこにも化けてみせると、うわばみは満足そうに笑った。

うわばみは自分を怖がらないたのきゅうに、怖いものはないのかと聞いてみた。

すると、色々と苦労させられているからお金が怖いと言った。

それを聞いて、うわばみもタバコのヤニが怖いということを教えてくれた。

絶対に誰にも言わないという約束で。

たのきゅうが気に入ったうわばみは特別に食べずに通してくれた。

たのきゅうは無事に村に帰りつくことが出来た。

帰り着いたたのきゅうは、村でうわばみとのことを話してしまった。

それを聞いた村のみんなはタバコのヤニを持って、うわばみ退治に行くこととなった。

たのきゅうたちは無事にうわばみを退治できるのでしょうか。

約束を破ってしまったたのきゅうは大丈夫なのでしょうか。

『たのきゅう』の素敵なところ

  • とてもわかりやすいセリフ回しと迫力の絵
  • うわばみとたのきゅうとのドキドキのやり取り
  • とんちのきいた大逆転

この絵本の特徴は、そのわかりやすさだと思います。

昔話、特に少しひねりのきいたおもしろさがあるお話は、文章や絵がわかりにくくなりやすいのです。

しかし、この絵本はセリフ回しも文章も、ものすごくわかりやすく、理解しやすく書かれています。

また、絵も迫力があり、ドキドキ感を味あわせてくれつつも、情景をわかりやすく描写してくれているので、物語の展開を理解する助けになってくれています。

文章と絵の両方で、このひねりのきいた面白さを楽しみやすくなっているのです。

さて、この絵本の目玉、うわばみとたのきゅうのやり取り。

これが手に汗握ります。

たのきゅうがなにに化けるのか。

その時のうわばみの反応は?

圧倒的ピンチのたのきゅうがどうなってしまうのか。

などなど、うわばみと出会ってから目が離せません。

子どもたちも「わあ、本当に女の人みたい」「うわばみ、喜んでる。よかった~」と驚いたり、安心したり。

ひょっとこに化けた時などは、うわばみと一緒に大笑い。

こうして一安心したのも束の間。

たのきゅうがうわばみとの約束を破ってしまいます。

「え!?言っちゃったよ!」と一気にドキドキに。

そんな中出発するうわばみ退治。

その結末は、昔話らしくとんちがきいたものでした。

そこでも、「まさか!?」「あれかな?」としっかり予想していたので、流れをしっかり理解していたみたいです。

それはこの絵本のわかりやすさのおかげでしょう。

ひねりのきいた昔話らしいお話を、その面白さが誰にでも伝わるように、丁寧にわかりやすく描かれた絵本です。

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