文:ふくべあきひろ 絵:おおのこうへい 出版:教育画劇
誰にでも食べ物の好き嫌いはあると思います。
もし、苦手なものを食べてくれる小人がいたら。
あなたはその小人に頼りますか?
でも、頼りすぎると・・・。
あらすじ
ピーマンの嫌いなりょうたくん。
誰か代わりに食べてくれないかなと思っていると・・・。
「食べてあげる」と小さな男の子が現れました。
その子は、小さなりょうたくんで、嫌いなものはなんでも食べてくれると言うのです。
きれいになったお皿を見て、ママは大喜び。
りょうたくんは褒められました。
次の日の、ごはんでも嫌いなニンジンを、小さなりょうたくんに食べてもらいました。
「あれもいやだ。これもいやだ」
とりょうたくんはどんどんわがままになっていきました。
しかし、どんどん食べていたちいさなりょうたくんは、どんどん大きくなっていきました。
次第に、りょうたくんの嫌いじゃないものまで食べるようになってきたのです。
いつの間にかちいさなりょうたくんは、本物のりょうたくんより大きくなっていました。
それを見たりょうたくん。
「こんなのいやだ!りょうたいやだ!」と言いました。
すると、大きくなったりょうたくんが言いました。
「今度はりょうたくんが嫌なの?」
ピーマン嫌だ。
ニンジン嫌だ。
そして今度はりょうた嫌だ。
ということは・・・。
のびてくる大きくなったりょうたくんの手。
本物のりょうたくんはどうなってしまうのでしょう。
『たべてあげる』の素敵なところ
- ちゃんと怖い
- かわいいけれど不気味な絵
- 救いのない結末
この絵本は食育とホラーが融合した絵本です。
しかし、そのホラー部分がちゃんと怖い。
大人が見ても、「こわ!」と思います。
子どもたちも、最初は小さなりょうたくんのことを羨ましがります。
「いいな~。ぼくもほしいな~」と口にしている子どもたち。
でも、なんでもかんでも食べるようになったころから、雰囲気が変わります。
最終的には「小さなりょうたくん、いらない。」「ぼく自分で食べてるよ」と意見が変わっていました。
このホラー部分にぴったりなのが、この絵です。
かわいらしいのですが、どこか不気味。
それが日常系ホラーなこのお話とベストマッチしているのです。
特に目だけ笑っていない表情などは背筋がゾクゾクします。
さて、食育を題材にしたものだと、最後は救いのあるものが多いのですが、この絵本に救いはありません。
反省しても後の祭り、とどめの結末が待っています。
自分だったらと思うと恐ろしい・・・。
そして、実はもうそうなっているかも・・・。
と思わせてくる所も恐ろしい・・・。
そんな、ちゃんと怖いホラー食育絵本です。
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