あめがふるふる(4歳~)

絵本

作:田島征三 出版:フレーベル館

雨が降ると外で遊べなくてつまらない。

でも、雨を喜ぶ生き物もたくさんいます。

そんな生き物が家まで遊びに誘いに来たら・・・。

あらすじ

雨の日、母さんが出かけました。

お兄ちゃんのネノくんと、妹のキフちゃんは留守番です。

母さんは二人に、外へ出ず部屋の中で遊ぶよう言いました。

母さんがバスに乗れたか窓から見ていると、バスが出発した後にこちらへ来る傘が見えました。

二人は母さんが忘れ物をしたのだと思いました。

でも、近づいてきたのはフキの葉を傘にしたカエルだったのです。

さらに窓にはびっしりとオタマジャクシ。

これにはキフちゃんもびっくりです。

オタマジャクシの後はカタツムリが窓にびっしり。

二人とも目が回ってしまいます。

外では木や草や畑の野菜たちが踊っています。

ネノくんとキフちゃんも楽しくなって、部屋の中で踊り出します。

そうしているうち、窓の外は水がいっぱいに。

すると、魚たちまでやってきました。

魚は友だちになりたそう。

ネノくんとキフちゃんを遊びに誘います。

でも、ネノくんは母さんとの約束を思い出し、きっぱりと断りました。

だけど、気付いたら部屋の外にいたネノくんとキフちゃん。

外は雨だらけ、水だらけ、魚だらけ。

一体どうなるのでしょう。

『あめがふるふる』の素敵なところ

  • 鮮やかに躍動的に描かれる力強い雨
  • いつの間にか不思議な世界へ引き込まれていく面白さ
  • 大雨の中で遊びたい気持ちを満たしてくれる

この絵本の根幹である雨。

外を線のように激しく降る雨が、色鮮やかに力強く描かれていきます。

その様は本当に動きが見えるようで、実際に大雨の中部屋の中にいるかのような感覚にしてくれます。

耳をすませば、他の音を消し去るような雨の音が聞こえてきそう。

この臨場感があるからこそ、見ている人がネノくんとキフちゃんになりきれるのだと思います。

そんな雨の中で現れる来客たち。

徐々に自然に不思議な世界への扉が開かれてきます。

オタマジャクシにカタツムリ、木々の踊りと、窓の外では不思議で楽しいことがたくさん起こっています。

気付けば、外は魚が泳げるほどの水で満たされ、自分たちも家を抜け出してしまっています。

この少しずつ少しずつ不思議の世界へ誘われていく感じが、子どもたちのイメージを無理なく広げてくれるのです。

だからこそ、自然にこの世界に没入してしまうのでしょう。

ネノくんとキフちゃんは外に出た後も、さらに世界を広げていきます。

森の動物たちとの関わりや遊びなど、まだまだ雨の魅力が盛り沢山。

それを見ていると、自分も雨の中、飛び出して遊びに行きたくなってきます。

子どもたちも、

「外行きたいよ!」

「公園の池が魚でいっぱいになってるかも!」

と雨遊びへの夢が膨らんでいるようです。

読み終わった後、窓に駆け寄り、外の雨の様子を見に行くのも面白いところです。

傘を持って雨散歩に出かけるのもいいかもしれません。

きっとこの絵本を見た後だと、見える世界やイメージの幅が広がっているでしょう。

本物のような力強い雨が降る絵本。

その雨の中不思議な世界で思い切り遊べる、雨の日に読みたい絵本です。

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