あれあれあれれ(4歳~)

絵本

作:つちだのぶこ 出版:ポプラ社

つい口に出てしまう「あれ」。

「あれ」じゃあ、なんのことを言っているかわからない?

いえいえ、大人はなぜか「あれ」で通じてしまうのです。

あらすじ

お母さんはあれって言ったら、なんでもわかってしまう。

お父さんが「お母さん、あれは?あと、あれもちょうだい。あれってどこやったかな?」と言った。

私はなんのことかさっぱりわからない。

でも、お母さんはハサミとお茶を持ってきて、メガネはおでこについているのを教えた。

お兄ちゃんがあれを忘れた時も、寝る前に「あれ、お話しして」と頼んだ時も、お母さんは全部わかってしまった。

おばあちゃんもあれって言ったらわかってしまう。

隣のおばさんも。

ある日、家族で市場に出かけたら、そこですごいことが起きていた・・・。

『あれあれあれれ』の素敵なところ

  • 代名詞の面白さが詰まってる
  • 次から次へと出てくる山のような「あれ」
  • 読むと「あれ」って言いたくなる

この絵本には「あれ」という、代名詞の面白さが詰まっています。

色々な言葉に変わってしまうあれ。

物から、価値から、出来事まで、何の代わりにもなってしまう、あれ。

いつもなんとなく使っているけれど、色んなあれを見てみると、その幅広さに驚かされてしまいます。

なんにでも変身できる言葉「代名詞」。

その面白さが思い切り伝わってくるのです。

そんな「あれ」を使った言葉が、この絵本ではびっくりするくらいたくさん出てきます。

絵本の半分以上は、「あれ」で出来ていると言ってしまってもいいくらい、あれが出てきます。

お母さんとおばあちゃんの会話では、

「ねえ、この間買っておいたあれがないんだけど。」

「あれ、あそこの棚にあるでしょ。」

「あれじゃなくて、あれのことよ。缶にしまっておいたあれ。」

「あーあれね。食べちゃった。ごめん。ごめん。」

もう、まるでパズルです。

でも、こんなのは序の口で、さらに多くのあれが出てくるのです。

読んでいるうち、「あれ」と言い過ぎて、段々感覚がマヒしてくるほど。

目一杯「あれ」が詰っているのです。

これだけ「あれ」と言い続けていると、自分たちでも言いたくなるのが面白いところ。

読み終わった後、子どもたちが楽しそうに「あれ」を使い始めます。

「ちょっと、あれだからあれで遊ぼうよ。」

「今から、あれが始まるんだよね。」

「あ、あれしとかないと、あれになっちゃう。」

など、何か言う時、あえて「あれ」を使うのです。

それはもうニヤニヤしながら。

それだけ、「あれ」という言葉の、面白さが伝わったのでしょう。

たくさんの「あれ」を通して、自分も「あれ」と言いたくなる。

代名詞の面白さを、これでもかと伝えてくれる言葉の絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました