作:柴田ケイコ 出版:PHP研究所
片付けが出来ない、ぱなしくん。
部屋は散らかしっぱなし、服は脱ぎっぱなし。
そんなことをしていたら、ある日オバケがやってきて・・・。
あらすじ
ぱなしくんは、片付けが苦手な男の子。
愛犬は、モジャ。
お手入れしていないから、毛がモジャモジャなのです。
片づけをしないから、部屋はぐちゃぐちゃ。
手入れをしないから、髪の毛もモジャモジャ。
部屋は散らかしっぱなし、口や机は汚しっぱなし、服は脱ぎっぱなしに着っぱなしです。
そんなある日、お母さんが言いました。
「こんなに散らかしていると、ごっちゃおばけがやってくるわよ」と。
ごっちゃおばけは、散らかっているものが大好きで、全部食べてしまうというのです。
でも、ぱなしくんは気にせずに、散らかしっぱなしでのほほんとしていました。
その日の夜、「べたべた・・・」という、変な音が聞こえてきました。
振り返ると、そこにいたのはベタベタしたものが好きな、ベタベタ妖怪。
食べこぼしでベタベタした机を、食べると消えてしまいました。
しばらくすると、また別の妖怪が現れました。
今度は臭いものが大好きな、むわむわ妖怪です。
着っぱなしで臭くなっている、ぱなしくんの服を吸い込むと消えてしまいました。
すると、今度はほこり妖怪が現れて、ぱなしくんを取り囲みます。
ほこりを撒き散らし、ぱなしくんが咳き込むのを見ると、満足して消えました。
そして、夜も深まったころ。
窓の方からついに現れたのが・・・。
『ぱなしくん』の素敵なところ
- 子どものよくやる「ぱなし」が盛り沢山
- 色んなことに反応して出てくる色んなおばけ
- 単純明快な解決法
この絵本には、ぱなしくんの姿を通して、子どもがよくやる「ぱなし」がたくさん出てきます。
散らかしっぱなし、脱ぎっぱなし、着っぱなし、水出しっぱなし、寝っぱなし、髪の毛伸ばしっぱなし・・・。
などなど、「絶対いくつかは当てはまるでしょう」というくらい、子どもの(大人も)「ぱなしあるある」が詰め込まれています。
見ながら、心の中で「ぎくり」としていることでしょう。
だからこそ、ぱなしくんに感情移入出来、オバケが本当に怖いのです。
自分の所にも来るかもしれないから・・・。
さて、そんなオバケはどれも個性的で、好物につられて出てきます。
ベタベタしたもの、臭いにおい、ほこりっぽい部屋。
それぞれがピンポイントな「ぱなし」に対応しているから面白い。
こんな「ぱなし」をしていると、こんなオバケが来るというのは、とてもわかりやすくて怖いところ。
さらに、この他のオバケまで想像出来てしまいます。
水出しっぱなしの、もったいないオバケ。
朝寝っぱなしの、ねむねむ妖怪。
など、楽しみつつ、ドキドキしつつ、生活習慣が見直せるのです。
そして、このドキドキから逃れる方法は、たった一つ。
かつ、単純明快。
この物凄いストレートさが、この絵本の素敵なところ。
なにをしたらいいのかが、すぐにわかるのです。
ドキドキしながらも、最後はわかりやすく「あーよかった!」と終われる。
そして、きっと自分の部屋の中を、一度見まわすことでしょう。
「散らかしっぱなしにしているとオバケが来る」という、とてもわかりやすく、面白く、少し怖い物語。
そこに出てくる、ぱなしくんの姿を通して、自分の生活を見返してみるきっかけになる絵本です。
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