どんないえにすみたい?(5歳~)

絵本

文:ジョージ・メンドーサ 絵:ドリス・スーザン・スミス 訳:木坂涼 出版:好学社

ネズミの建築家ヘンリエッタ。

これまで、様々な家を手掛けてきました。

リス、ネコ、モグラ、イモムシ、トカゲ・・・。

では、どんな家が完成したのか、ひとつひとつ見ていきましょう。

あらすじ

ネズミのヘンリエッタは世界的に有名な建築家です。

家の設計・内装・家具のデザインまで全てやります。

ヘンリエッタは仕事場の家で、仲間のスタッフと仕事をしています。

図面を引く部屋があったり、くつろげるリビングがあったり、地下にはキッチンもあります。

とても大きな仕事場です。

ここからは、ヘンリエッタが作った家を見ていきます。

まずは、リスのツリーハウス。

木にリスの住む小屋が二つ。

ドングリの殻を剝く機会もついています。

荷物の運搬には滑車を使い便利そう。

小屋の近くには、鳥たちの家や展望台もあります。

次はマスの海の楽園のような家。

岩場をくりぬき、宮殿のようにしています。

中庭には水草で作った植え込みや、銅像が立っています。

ネコはどこでも寝転がれる別荘をお願いしました。

川の上流がある山の上に、その別荘は建っています。

日本家屋風の家で、中庭は日本庭園のよう。

盆栽があったい、魚の調理場もあります。

魚が食べたくなったら裏手の川で釣りもできます。

ネコは見晴らしのいい家のへりから、のんびり凧揚げを楽しんでいました。

ヘンリエッタの手掛けた家はまだまだあります。

モグラの地上の家、ウサギの畑付きの家、トカゲの海の家・・・。

次はどんな工夫が凝らされた家が出てくるのでしょう。

『どんないえにすみたい?』の素敵なところ

  • 家のパンフレットのように細部まで描き込まれた家
  • 家主がどんな風に生活しているかイメージできる
  • ヘンリエッタの住む驚きの家

家のパンフレットのように細部まで描き込まれた家

この絵本のなにより素敵なところは、ヘンリエッタが作った家をじっくり見られることでしょう。

依頼主の生き物たちの要望を全て叶えるその家は、どれも独創的で見たことのないものばかり。

そんな家々を、立体的な設計図面のような細かさで、じっくり見ることができるのです。

どこにどんな部屋があり、どんな飾りつけがされていて、そこでどんなことができるのか。

その全てを見ることが出来てしまいます。

そして、隅々まで見たいという好奇心に応えてくれるのが、家具や小物のひとつひとつまで細かく描き込まれているところ。

ネコの家の盆栽、魚を干物にするための塩の入った皿。

キツネの家にはチェス盤、電車のジオラマ、筋トレ用具。

といったように、見ているだけで、楽しい発見がたくさんあるのです。

これが、ひとつひとつの家により全然違い、ページをめくるたび、

「次はどんな家なんだろう?」

「どんなものが家の中にあるんだろう?」

と、ワクワクさせてくれるのです。

家主がどんな風に生活しているかイメージできる

そんな描き込まれた家ですが、住みやすさもしっかりと考えられているのがとても素敵。

見た目が素敵なだけではなく、住む人のことも考えた設計になっていて、それが絵からわかるのです。

リスのツリーハウスなら、昇り降りしなくても荷物が運べるよう、滑車がついていたり。

モグラの地上の家では、くつろぎのスペースに、日差しのしっかりと入りそうな採光窓があったり。

ウサギの畑付きの家なら、畑からの収穫物を置いておく部屋が用意されていたり。

それを見ていると、

「きっとこんな暮らしをしているんだろうな」

「せっかく地上に出たから、お日さま浴びたいんだね」

「お腹が空いたら、ここで釣りをするんだよ」

といったように、そこで暮らす生き物たちの様子を想像出来てしまうのです。

ただの箱ではなく、家としてしっかり機能するように考えて作られているからでしょう。

この家の中での動きや、暮らしぶりを想像して楽しめるのも、この絵本の素敵なところです。

ヘンリエッタの住む驚きの家

さて、こんなに素敵な家を作っているヘンリエッタ。

物語の最後に、ヘンリエッタの家も紹介されます。

ですが、これがとても予想外。

これには子どもたちもびっくりです。

でも、これを見ると、ヘンリエッタに親近感が湧いてきます。

世界的に有名な建築家のヘンリエッタ。

これまでにそのすごい作品たちを見てきました。

建築家と言うより、芸術家とまで言われています。

そんな遠い存在のようなヘンリエッタ。

それが、最後の場面でイメージが変わります。

最後の場面のヘンリエッタは、とても素朴で人間味があり、近寄りがたさを感じません。

そんな、建築家としてではない、一匹のネズミとしてのヘンリエッタも見せてくれるのが、この絵本の素敵なところだと思います。

二言まとめ

細かく描き込まれた、独創的な家々を見ているだけでおもしろい。

家の作りや小物から、そこに住んでいる様子を想像出来てしまうほど、作り込まれた家が素敵な絵本です。

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