お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
保育士の皆さんは、保育士や保育所に関係する法律って、どれくらい理解していますか?
ぼくは恥ずかしながら、保育士試験の時に参考書で知っていた程度で、原文を読んだことがありませんでした。
それに色んな法律が関係しているので、どれから読んだものかと迷っているうちに時が過ぎていったのもあります・・・。
今回、改めて関係する法律の原文を片っ端から読んで見て、ある程度体系化できたました。
ぼくのような
- 「法律を勉強したいなと思っているけど・・・」
- 「幅が広過ぎてよくわからない」
- 「ざっくり全体像を知りたい」
そんな方には、かなり参考になると思います。
ただ、ざっくり解説なので、けっこう意訳が含まれることや、厳密には法律ではないものが入っているのをご了承の上で見てください。
詳細ではなく、全体像がわかることを重視しているので、そこから興味を持ったものや、必要だと思ったものの原文を、ぜひ自分の目で確認してください。
では、いってみましょう!
法律の優先順位
まず、整理しておかないといけないのは、法律などの優先順位です。
学校や参考書で勉強する中で、色々なものが出てきたと思います。
憲法、子どもの権利条約、児童福祉法、保育所保育指針・・・。
では、これらの優先順位を正確につけられる人はどれくらいいるでしょうか?
ぼくも実は知りませんでした。
実はこれ、
- 憲法
- 条約
- 法律
- 綱領
- 保育指針
という順番になっています。
実は条約の位置がどこにくるのかわかっていない人は多いのではないでしょうか。
ぼくです。
条約は国際法に位置づけられるので、各国の法律よりも上位の存在。
条約を順守した法律を組まなければいけないのです。
これを踏まえたうえで、各法律を見てみましょう。
保育士に関係する法律には2タイプある
まず、保育士に関係する法律は大きく2タイプにわけられます。
それが、
「保育士や保育所を定義するの法律」
「働くうえで大切なことを示した法律」
です。
「保育士や保育所を定義するための法律」には、児童福祉法や社会福祉法が当たります。
「働くうえで大切なことを示した法律」は、日本国憲法、子どもの権利条約、保育所保育指針などですね。
ここを切り分けられると、かなり法律の性質がわかりやすくなると思います。
また、法律を調べようと思った時に、当たりをつけやすくもなるでしょう。
では、それぞれの法律についてタイプごとに見ていきたいと思います。
保育士や保育所を定義する法律
大きく3つの法律があります。
かなり広範囲で、難しい記述も多いので、基本的には必要な情報をピックアップして調べるのが有効だと感じます。
ひとまず、児童福祉法の保育士・保育所に関係ある部分だけ見るところから始めましょう。
児童福祉法
ここでは児童福祉の理念と、児童福祉に関わる職員の条件、虐待や障害を含む福祉が必要な児童への措置や給付について示されています。
例えば、
- 保育士を始め、里親や児童福祉士など、児童福祉に関係する職員になるための資格や条件、その責務について
- 虐待の可能性がある時の通報義務や、通報された後の子どもの保護経路や、その責務を負う機関について
- 障害を持っている子の療育に関する機関や制度、それを利用するための給付などについて
書かれています。
けっこう難解な部分も多いので、ひとまずは第一章「総則」だけ読んでおくのがおススメです。
目を通しておけば児童福祉全体を見渡すことができるでしょう。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
かなり名前が長い法律ですが重要です。
保育所を始め、乳児院や児童養護施設など、児童福祉施設の設置条件や、その施設の理念、運営する上で守らなければいけないこと、努力しなけばいけないことが示されています。
保育所で言えば、保育室の面積や、保育士の配置人数、避難経路の基準などですね。
保育所の部分を見ておくのは必須級の法律です。
余裕があれば、他の施設についても把握しておきたいですね。
社会福祉法
こちらは福祉事務所や、社会福祉法人など社会福祉事業に関する定義や決まりについて書かれています。
保育所や保育士とは直接的には関係ありませんが、同じ福祉に関わるものとしては知っておいて損はないくらいの立ち位置かなと。
児童福祉法に含まれる、乳児院や児童養護施設などは社会福祉法とも関係するので、間接的には必要な知識になってきます。
ただ、他の法律と比べると、保育士が勉強する優先順位は低いかもしれません。
働くうえで大切なことを示した法律
ここから紹介する法律は、保育士をやるなら、必ず目を通しておいた方がいい法律です。
それを守ることで、不適切保育や虐待を防ぐためという、予防の目線ももちろんあります。
ですが、それよりも、保育や教育の本質が凝縮されていて、自分の保育や人間性を成長させるために、とても役に立つからです。
同時に、かなりわかりやすく、読みやすく書かれていたり、解説されているものも多いので、非常にとっつきやすいのもありがたいところ。
知らないものがある人は、ぜひ原文を読んでみてください。
日本国憲法
日本国民はどうあるべきかを示した、日本の最上位の法律(?)です。
天皇や三権分立、衆議院などの定義などが書かれています。
ですが、その中でも、保育士含む全国民が見て欲しい部分があります。
それが、
の三つです。
- 「前文」では、自由と国内の平和、国際平和を守るための強い意志
- 「戦争の放棄」では、平和のために戦争をしない信念
- 「国民の権利及び義務」では、当たり前になり忘れがちな民主主義の再確認
が読み取れます。
かなり昔に作られたとは思えないほど、平和と民主主義の本質が詰っていますよ。
子どもの権利条約
これは国連によって採択された国際条約です。
批准した国は、この条約を守るために、制度や法律を整備していく義務があります。
この条約はざっくりいうと
「子どもの権利を守りましょう」
というもの。
その中で大きく4つの原則があります。
それは、
- 差別の禁止
- 子どもの最善の利益
- 命を守られ成長できること
- 子どもの意見の尊重
です。
この4つを基本に、子どもの権利が侵害されないように、しないようにしていきましょうと言うものです。
これは必ず目を通しておく必要があります。
そして、ものすごく読みやすいです。
特に日本では、「子どもの意見の尊重」が侵害されやすい傾向にあるので、自分の保育を振り返るためにもぜひ見てみてください。
全国保育士会倫理綱領
かなり大切なのに、知名度が低すぎるものがこれです。
聞いたことありますか?
ぼくは保育士8年目くらいに、たまたま参加した研修で知りました・・・。
ですが、こんなに知名度が低いとは思えないほど重要なものです。
なぜなら、保育士の資格を持つ人は、この綱領に従い働くことへ同意していることになっているからです。
いわゆる「職業倫理」と呼ばれるもの。
簡単に言うと「保育士としてよりよい保育活動を行うためのルール」となります。
大きく3つの原則があり、
- 私たちは、子どもの育ちを支えます。
- 私たちは、保護者の子育てを支えます。
- 私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります。
その下に、8つの小項目が定められています。
実は「見たことない」「知らなかった」では済まされないレベルのものなので、見たことがない人は必ず目を通しておきましょう。
保育所保育指針
これはみなさん見たことがあると思います。
保育士にとっては一番身近で、実用的なものでしょう。
保育所の役割や、年齢ごとの子どもとのかかわり方について、最も具体的に詳しく書かれているものです。
読んだことのない人は、必ず読んでおきましょう。
保育所保育指針はほとんどの方が目を通していると思うので、ここでおススメしたいのは「保育所保育指針解説」です。
意外と解説を読んだことのある人は、少ないのではないでしょうか?
文量は多いですが、具体例などを交え、ものすごく理解しやすいように書かれています。
保育指針がかなり簡潔に書かれていることもあり、「こういうことか」と理解が深まったり、「そういうことだったのね」と思い違いをしていたことに気付いたりと、かなり発見の多い実用的なものとなっています。
新任の保育士にはもちろん、3年目など保育に慣れた頃にぜひ解説を読んで欲しいところ。
きっと自分の保育を振り返り、新たな保育へと繋げていくための指針となってくれると思います。
コラム:保育所保育指針と幼稚園教育要領の違い
改定などにより、両方とも子どもの成長カテゴリーを5領域に統一するなど、内容がどんどん近づいているこの二つ。
ですが、読み比べてみると、意外な違いがたくさんあっておもしろかったので紹介します。
余力のある方は、ぜひ読んでみてください。
家庭と園の関係性
保育指針では、家庭と園は地続きで、家庭での保育の延長線上に保育所があるイメージです。
教育要領では、家庭とは別の場所として、家庭では経験できない体験をする場所となっています。
家庭での保育をサポートする保育所と、家庭での保育があった上で来る幼稚園というベースの違いが表れているのかもしれません。
重点的に書かれている項目
保育指針では、子どもの年代別の発達過程や、それに対する保育士の関わり方がかなり細かく書かれています。
教育要領では、指導計画の作り方や、その際に気を付けるべきことについて、かなり詳しく書かれています。
かなり幅広い年齢の子どもがいる保育所と、幼児のみを扱う幼稚園という、性質の違いが大きく表れている部分かもしれません。
それぞれににしか書かれていない意外な項目
教育要領には書かれていない意外なものは、「食育」「災害への対応」「虐待への対応」です。
反対に、保育指針には書かれていないのが、「障害のある幼児について」「海外からの幼児について」という項目です。
一見、どれも両方の施設に必要なことなので、書かれていると思われそうですが、見比べてみると意外と項目に違いがありました。
特に教育要領の「障害のある幼児」「海外からの幼児」については、幼稚園教育要領解説でかなり具体的に書かれており、保育士にも参考になるので、この部分だけでも目を通してみるのをおススメします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、保育士をする上で、避けては通れない法律を紹介してきました。
そうは言っても、法律は分量も多いし、なにより読みにくいものもたくさんあります。
ただ、保育士に直接かかわりある部分だけであれば、意外とすぐに読み終わります。
まずは関係ある部分だけ抜き出して読み、徐々に網羅できるようにしていくと、かなりとっつきやすくなると思いますよ。
大変だと思いますが、どれもこれから子どもたちが、元気に平和に大きくなっていくために欠かせない制度や、考え方ばかりです。
ぜひ、一緒に、保育の中に取り入れて、子どもにとってよりよい保育を考えていきましょう!
最後まで見ていただきありがとうございました!
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