【絵本】はっきょいどーん(4歳~)

絵本

作:やまもとななこ 出版:講談社

土俵に上がる明けの海。

相手は自分よりも大きな横綱です。

さあ、優勝決める大一番が始まります。

あらすじ

今日は優勝を決める大一番。

その大一番に初めて挑む明けの海が、気合十分で土俵へと上がってきました。

迎え撃つのは、最強の横綱武留道山(ぶるどうざん)。

明けの海の二回りはあろうかという巨体です。

塩をまき、両者見合います。

そして、はっきょい!

試合が始まった瞬間、仕掛けたのは明けの海。

体全体でぶつかっていきます。

負けじと武留道山も張り手で返す。

しかし、押し返されない明けの海。

武留道山のまわしをがしっと掴みました。

合わせて、武留道山も開けの海のまわしを掴みます。

そして、そのまま押し出しの姿勢に。

明けの海はどんどん押され、土俵際。

もう後がありません。

なんとか踏みとどまった明けの海。

このピンチを乗り越えることはできるのでしょうか・・・?

『はっきょいどーん』の素敵なところ

  • 間近で見ているような物凄い臨場感
  • 力強い力士の肉体美
  • 手に汗握る熱い展開

間近で見ているような物凄い臨場感

この絵本のなにより熱中させてくれるのは、相撲の試合の臨場感でしょう。

土俵に上がり、塩をまき、みあってみあって・・・。

と、試合の一部始終を見せてくれるのもさることながら、力士の力強い動きや、気合の入った表情まで、大一番の張りつめた空気が伝わってくるのです。

さらに盛り上げてくれるは、実況のような文章。

「待ったなし!優勝きめる大一番。初めて挑む明けの海。」

「迎え撃つのは、最強の横綱、武留道山」

と、筆で書いたような力強い字体で描かれます。

この冒頭で、一気に相撲の世界へと引き込まれてしまうでしょう。

子どもたちも最初は、

「お相撲さん!」

「太っちょだね~」

などなど、談笑しながら見ていましたが、1~2ページで真剣な表情と、ピリッとした空気感へ。

まるで、明けの海の気合が伝染しているようでした。

もちろん、そこから始まる試合も臨場感抜群。

「はっきょい!のこった。」と同時の「どーん」という体当たり。

「うわー!痛そう!」

と、子どもたちはもう完全に入り込んでいます。

そこからの張り手や、まわしを掴む攻防に、固唾をのんで見守ります。

「武留道山でけ~。」

「こんなのに勝てるの・・・」

子どもたちの心の声が漏れ聞こえるのと同時に、土俵際まで押される明けの海。

「あー!外に出ちゃうよ!」

「頑張って!」

子どもたちの応援の甲斐あってか、明けの海が踏みとどまります。

もう、絵本を読んでいる場所は完全に土俵。

気分は国技館の最前列。

熱い熱気に包まれます。

この、臨場感がものすごいのです。

まさに、本当の相撲を見ている気分になれるのが、この絵本のとても熱いところです。

力強い力士の肉体美

そんな臨場感を高めてくれるのに、欠かせないのが力強く描かれる力士の肉体美でしょう。

「どーん」と体当たりした腕・背中・お尻・足には、筋肉が浮き出し、全ての力をフルに使っていることが伝わってきます。

まわしを掴む時のごつごつとした手は、まるで重機のようで、まわしにがっちりと食い込んでいます。

極めつけは、土俵際で踏みとどまる足。

土俵の淵につま先をかけ、かかとがつかないように耐える姿は、全ての筋力をつま先の一点に集中しているかのような力強さ。

ふくらはぎの躍動感がまだ諦めていないことを、見ている人に伝えてくれます。

この一挙手一投足の力強い肉体美も、試合をとても盛り上げてくれるところ。

力士たちの本気が、体の筋肉一つ一つから生きた感覚として伝わってくるのです。

手に汗握る熱い展開

さて、この大一番の結末は、まさに歴史に名を残す名勝負といった様相となりました。

体の大きな武留道山に、土俵際まで押される明けの海。

まさに絶体絶命です。

ここからの展開が、本当に熱い。

きっと、展開としては予想できる流れだと思います。

ただ、そんなことは関係ないくらい熱いのです。

明けの海の「負けるもんか」という、大一番にかける思いと気合。

臨場感溢れる構図。

力強い絵。

これらが組み合わさって、ただただ明けの海を応援するしかないのです。

子どもたちも、土俵際に追い込まれたところから、

「あー!出ちゃう!止まってー!!」

「がんばれー!投げられるぞ!」

「明けの海、勝って―!!!」

と、完全に観客として声を上げていました。

そして、その声援を受けての結末。

開けの海も、子どもたちも全力を出し切り、清々しい顔で終わります。

この、手に汗握り過ぎる試合展開と結末も、この絵本でしか味わえない素晴らしいところです。

二言まとめ

目の前で本当に相撲を見ているような臨場感に、心が国技場へ飛んでいってしまう。

手に汗握る展開に、心の底から応援の声と歓声あげてしまう熱すぎる絵本です。

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