文・絵:つるたあき 出版:KADOKAWA
そこら中から聞こえるカエルの鳴き声。
実は、その鳴き声が重なった時、あることが始まります。
それが、けろずもう!
あらすじ
ある夏の夜。たくさんのカエルたちが鳴いていました。
そんな中、2匹のカエルの鳴き声が重なります。すると、2匹のカエルはまわしをつけて、けろずもうが始まります。
東はアマゾンツノガエルのつののやま。西はチャコガエルのあおのふじ。「はっけろ」「けろーい」と見合って見合って・・・、「のこった!!」と試合が始まります。
まずはつののやまが角でグイグイ押して土俵際へ。あおのふじも負けじとお腹を膨らませ、つののやまを弾き飛ばします。すごい戦いを繰り広げる2匹の力士たち。
ですが、その時、大きな影とともに、羽ばたく音が・・・、なんと、スズメが乱入してきたのです。つつかれては大変と逃げる観客たち。
しかし、2匹の力士たちは・・・。
『けろずもう』の素敵なところ
- 色とりどりのカエルたちと個性豊かな鳴き声
- カエルの意地を賭けた、手に汗握る熱い戦い
- 強大な乱入者との死闘
色とりどりのカエルたちと個性豊かな鳴き声
この絵本のまずおもしろいところは、個性豊かなカエルたちに出会えることでしょう。
カエルと聞くと、緑色のカエルをイメージする人が多いと思いますが、この絵本のカエルはカラフルで、模様も個性的。世界のカエルを集めているので、水色やオレンジのカエルがいたり、まだら模様や、ハムスターのような見た目のものまで、本当に様々。見ているだけで、図鑑を見ているかのようにおもしろいのです。
さらに個性的なのは鳴き声で、定番の「ゲコゲコ」から、牛のような「モーモー」、ネコのような「ミャー!!」まで、「本当にそんな鳴き声あるの!?」と思うようなカエルもいます。
この、色々なカエルと出会え、その多様な魅力にカエルへの興味が搔き立てられるところが、この絵本の魅力の一つです。
カエルの意地を賭けた、手に汗握る熱い戦い
さあ、こんなに個性的な鳴き声ですが、他のカエルと重なった時、けろずもうが始まります。
それまでのリアル路線から、急にまわしを締め、塩をまき始めるカエル。一気にキャラクターっぽく見えてきます。ですが、見合う動きや、飛び掛かる動きはカエルそのもの。
このリアル感とキャラクター感のバランスが絶妙で、お腹を膨らませて弾き飛ばしたりと見ていて楽しいのすが、カエルらしさは決して忘れないのです。
こんな試合を見せられたら、子どもたちも熱くなって当たり前。

あー!押し出されちゃう!



お腹、つよっ!



どっちもがんばれー!
と、応援にも熱が入ってしまいます。
この、おもしろくも熱い一進一退の攻防に、まるで観客のカエルたちのように熱が入ってしまうのも、この絵本のとても白熱するところです。
強大な乱入者との死闘
しかし、そんな真剣勝負に、まさかの乱入者が現れます。それがスズメ。カエルにしてみたら、完全に怪獣です。つつかれたら痛いどころか、食べられてしまいます。逃げ惑う観客たち。
ですが、力士の二匹は違いました。この強大な乱入者に立ち向かっていくのです。ここでのスズメとの死闘もまた、相撲の場面と同じくらい熱いところです。
1匹ではきっと勝てなかったでしょう。ですが、2匹だからこそ・・・、という熱い友情展開を見せてくれます。それはまるでヒーローもののアニメを見ているかのよう。胸が熱くならないはずがありません。
この相撲で勝負がつくかと思いきや、強大なラスボスに立ち向かうという展開と、その打倒の仕方も、この絵本のとても心が熱くなる、手に汗握るところです。
二言まとめ
一進一退で繰り広げられる、けろずもうの真剣勝負に手に汗握る。
さらに、強大な敵の乱入とその戦いに、もっと胸が熱くなる、最後まで目が離せない相撲絵本です。
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