作:かしわらあきお 出版:東京書店
暗い中浮かび上がるシルエット。
どれも見たことがある形ばかりです。
けれど、明かりをつけたら予想と全然違う!?
あらすじ
暗い中、車のようなシルエットが見えます。
きっと車に違いありません!
電球くんが明かりをつけてみると・・・。
なんと、気持ちよさそうに昼寝をしているワニさんでした。
他にもリンゴ、バナナ、レモン、パイナップルにモジャモジャ頭、ヒツジにロケットなど、見たことのあるシルエットが出てきます。
ですが、明かりをつけると、どれも予想外なものばかり。
いくつ当てることができるかな?
『あかりをつけたら?』の素敵なところ
- 予想の斜め上を行くシルエットクイズ
- 少しずつ対応してくる子ども
- シルエットと答えの絵を見比べるおもしろさ
予想の斜め上を行くシルエットクイズ
この絵本のなによりおもしろいところは、難しすぎるシルエットクイズでしょう。
シンプルな小さい子向けのシルエットクイズだと思いきや、その答えはどれも予想の斜め上。
車がワニの寝顔だったりします。
予想と違い過ぎて、まるで影絵の裏側を見ている気分です。
でも、それがおもしろい。
納得いかなそうな表情をしつつも、確かに輪郭は同じなので納得しないわけにはいきません。
と同時に、「ワニの顔って車に見えるんだね!」という、新たな視点の発見もあり、大きい子ほどそのおもしろさが倍増します。
特に年長組の子は、前のめりになってクイズに参加していました。
この、シンプルに見せかけて、一風変わったシルエットクイズが、この絵本のとてもおもしろくて素敵なところです。
少しずつ対応してくる子ども
けれど、子どもも騙されっぱなしではいられません。
特に年長組など大きな子は、クイズの出題傾向から、最初に頭に浮かんだ答えではないことがわかってきます。
ここからが、この絵本の醍醐味。
直感に惑わされず、そのシルエットを見て考え始めるのです。
すると不思議なことに、最初は1種類のものにしか見えなかったシルエットの中に、色々な可能性が広がっていきます。
そして、「あれかな?でも、あれにも見える」と、違う予想の中で、どの答えを出すか悩みます。
正解する子は少ないのですが、ニアミスな子は結構いて、「そっちだったかー!」と形の近い他のものだったりして悔しがる姿も楽しいところ。
こんな風に、お馴染みのシルエットの中に、違う形を見つけ出すという、一段視点を広く持って考える遊びができるのも、この絵本のとても素敵なところです。
シルエットと答えの絵を見比べるおもしろさ
また、答えがわかった後に、シルエットと見比べてみるのも、この絵本のおもしろい遊びの一つ。
答えを見て驚いた後は、予想と全然違う答えが、シルエットのどこと一致しているか気になってしまいます。
前後のページをめくったり戻したりしながら、
「ワニさんの目がタイヤになってる!」
「逆さまにすると、車みたいだね!」
など、対応している形を見つけていきます。
中には結構複雑な形もあったりするので、子どもたちの目線も真剣です。
時には絵本をひっくり返したりしながら、形を見比べる姿はまさに研究者。
思う存分、形の不思議に肩までつかることができるのです。
この形を見比べる遊びも、この絵本のとてもおもしろく素敵なところです。
二言まとめ
シンプルなシルエットクイズ化と思いきや、予想の斜め上過ぎる答えの意外さに、知的好奇心をくすぐられる。
小さい子はシンプルに意外な驚きを、大きい子は意外性を加味した高度な予想を楽しめる、一風変わったシルエットクイズ絵本です。
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