作:松田奈那子 出版:角川書店
色水を紙に落としてふーっと息を吹きかける。
すると、色水が広がり色々な形に。
そうだ!これで絵を描いてみよう!
あらすじ
黄色の色水を一滴、白い紙に落としてみる。
これに息を吹きかけると・・・
色水の端が広がり、太陽になった。
今度は、緑の色水を紙の底辺に、平行にいくつも落とす。
息を吹きかけると・・・
色水が上に伸びて、草が生えた。
ネズミの親子の背中にも、紫の色水の点をたくさんつけてみる。
息を吹きかけると・・・
点は線になりハリネズミになっちゃった。
次はネコの口元に、水色の色水を点々。
イヌのしっぽに茶色の色水を点々。
息を吹きかけると・・・
点々から色水が伸び、ネコのヒゲと、イヌのしっぽの毛になった。
さらにお兄さんの頭にオレンジ、お姉さんのまつ毛に青、おじいさんの口元にグレーの色水。
息を吹きかけると・・・
一体何になるでしょう?
『ふーってして』の素敵なところ
- 絵本でできる楽しい色水遊び
- 顔を真っ赤にしながらの「ふーっ」
- 実際に試すための方法も描いてある
絵本でできる楽しい色水遊び
この絵本のなにより楽しいところは、絵本で色水遊びができてしまうところでしょう。
ぽとっと垂らした色水に、息を吹きかける楽しい遊び。
これがまるで本物のようにできてしまうのです。
色水の広がり方も色々で、放射状に広がったり、一方向に長く伸びたり、枝分かれしたり・・・。
同じように、「ふーっ」と吹いているだけなのに、色々な形に変化します。
これが、「次はどんな絵になるんだろう」と、ドキドキワクワク。
変化した絵を見て、
「お日さまになった!」
「おひげだ!」
「ハリネズミかわいい!」
などなど、広がる色水に驚きと喜びの声を上げていました。
それはまるで、絵本を見ているというより、実際に色水で実験をしている時のよう。
この、本当に色水遊びをしているような感覚を味わえるのが、この絵本のとても素敵なところです。
顔を真っ赤にしながらの「ふーっ」
こんな風に、色水遊びももちろん楽しいのですが、実は「ふーっ」としているだけでもおもしろいのが、この絵本のすごいところ。
「ねえ、ふーってして」
の合言葉に合わせて、絵本にふーっと息を吹きかけます。
子ども達はもちろん全力。
顔を真っ赤にするほど大きく息を吸い込んで、オオカミが家を吹き飛ばすかの如く、息を吹きかけるのです。
中には、隣の子と競い合って、息を吹き続ける子も。
最後の方には、静かに吹く場所もあり、吹き方の強弱も楽しめます。
この「ふーっ」自体が、楽しい遊びになっているのです。
そのおかげで、色水の変化を体験したことない子でも、この絵本を思いきり楽しめます。
なんで色水が広がっているのかピンと来なくても、ただ息を吹きかけるだけでとても楽しい。
「ふーっ」としするのを楽しむために、この絵本を見ているところから、色水を体験して、この絵本のさらなるおもしろさに気付くこともあるでしょう。
この「ふーっ」という、体を使ったおもしろさがあることで、様々な年齢の子や、色水をしたことがない子なども、思いきり楽しめるのも、この絵本のとてもすてきなところです。
実際に試すための方法も描いてある
さて、色々な楽しみ方ができるこの絵本ですが、最後に色水の作り方や遊び方が、子どもにもわかるように紹介されています。
これもまた、この絵本にぴったりの素敵なところ。
色水を体験したことがあっても、吹き方によって形がかわることは知らない子もいるでしょう。
色水を体験したことがない子もいるでしょう。
そんな子たちには、絵本の世界を実際に体験することへ繋げてくれるページとなります。
きっと、実際にやってみることで、味わえる感動がそこにはあることでしょう。
反対に色水で遊びこんでいる子には、絵本と同じ絵を作ってみたり、自分で新しいものを創造する機会になるかもしれません。
ふーっと吹いたものを見立てて絵にすることはけっこうやりますが、描いた絵の一部にこの手法を使うことはやったことがない子も多いはず。
きっと新しい表現法や、色水の魅力の発見につながると思います。
この、絵本の中だけで終わりではなく、その後の遊びや現実での体験に繋げてくれる仕組みになっているのも、この絵本のとても素敵なところです。
二言まとめ
絵本に向かって「ふーっ」と息を吹きかけるのが、とにかく楽しい。
本当に色水遊びをしてる気分になりつつ、本物の色水遊びもしてみたくなる絵本です。
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