作:深見春夫 出版:岩崎書店
豆を食べたおじさんの、足が急ににょきにょきにょき。
伸びていった足は野を越え山を越え、どんどん進む。
一体どこまで行ってしまうのでしょう。
あらすじ
ある日空から、ポコおじさんの家の庭に、大きな豆が落ちてきました。
いい匂いがするその豆を、ポコおじさんは食べてみました。
すると、左足が大きくなってにょきにょきと伸び始めたのです。
足はどんどん伸びていき、家の外へ出ていきました。
森を抜け、線路の高架下を通り、ついに街の中まで。
ポコおじさんの足は、車や建物を上手くよけながら進んでいきます。
その時、向こうから別の足がやってきました。
別の足は車をひっくり返し、建物を壊しながら進んでいました。
両方の足がぶつかると、おしくらやつねり合いが始まりました。
そして、ポコおじさんの足が別の足をくすぐると、別の足はみるみる縮んでいったのです。
街の人は大喜び。
市長さんに表彰もされました。
さらに街の人を足に乗せてもらえないかと頼まれたので、街の人を乗せながらにょきにょきと進むことになりました。
ポコおじさんの足はいつになったら戻るのでしょうか・・・。
『あしにょきにょきにょき』の素敵なところ
- ただ足が伸びるという面白さ
- 盛り上がる足対決
- かわいくて平和な足の戻し方
この絵本は、「おじさんが豆を食べたら、なぜか左足が伸び続ける」という、ただそれだけのお話です。
でも、それがまあ面白いこと。
「えー!?」
「どこまで伸びるのー!?」
と、細かいことは気にせずに、足の行方が気になってしまいます。
どんどん伸びていき、街を一周するほどの長さになっていく。
もう、それだけで楽しすぎるのです。
そんな伸びた足の見せ場が、足対決です。
向うからのびてくる怪獣みたいな足との対決。
やっていることは足相撲みたいなのに、なぜかシュールにならず迫力があり、怪獣映画のような雰囲気があります。
スケール感のせいしょうか。
ポコおじさんの足のピンチや逆転もしっかり用意されており、ヒーローもののコツをしっかり掴んでいます。
応援する子にも自然と力が入ります。
さて、ポコおじさんの足も別の足も、戻し方は一緒でした。
それは足をくすぐること。
なぜなのかはわかりません。
しかし、理由などいりません。
そういうことも自然と受け入れられる、なにが起こっても大丈夫感がこの絵本にはあるのです。
不思議なことばかり起こるこの絵本。
その不思議さをただ純粋に楽しめるのが、一番素敵なところなのだと思います。
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