作:エイナット・ツァルファティ 訳:青山南 出版:光村教育図書
浜辺で作り始めた砂のお城。
どんどん大きくしていくうちに、本物のお城が完成してしまいました。
中に入って遊んでいると、各国の王様たちが訪ねてきて・・・。
あらすじ
海に遊びに来た女の子。
浜辺で砂のお城を作り始めました。
でも、普通のお城ではありません。
女の子が作るのは本物のお城です。
塔があり、ドームがあり、お堀まであるのです。
中に入ると、大きな窓はオーシャンビュー。
部屋の数もたくさんです。
完成すると、すぐに世界中から王様やお妃さまがお城を訪ねてやってきました。
みんなすごく気に入って、砂のお城で過ごしていました。
パーティをして、アイスを一晩中食べて、楽しい一夜を過ごしました。
でも、翌日、面倒なことが起こります。
朝食の時に、食べ物に砂が入っていると、王様たちが騒ぎ始めたのです。
兵士たちも、鎧に砂が入ると言い、温室でも草木が枯れ始めました。
砂への不満は白中に広がり、その不満がついに爆発!
その時、女の子が取った行動は・・・。
『すなのおしろ』の素敵なところ
- 大きくて豪華すぎる砂のお城
- 砂ならではの苦労とわがままな王様たち
- 砂のお城ならではの最後の場面
大きくて豪華すぎる砂のお城
この絵本の、なにより面白いところは、完成した砂のお城の壮大さでしょう。
作り始めは、普通の砂のお城なのに、ページをめくるたび、大きくなっていくお城。
気付けば、塔ができて、ドームができて、装飾まで完璧。
さらには中に入れてしまいます。
子どもたちも、
「砂のお城楽しいよね♪」
と、自分の記憶に照らし合わせていたのに、
「えー!?こんなの作れないよ!」
「中まで作ってある!?」
と、まさかの展開とスケールにびっくり!
驚きと憧れの眼差しで、お城を見つめていました。
砂ならではの苦労とわがままな王様たち
そんな素敵なお城ですが、大人が来ると話が変わってきます。
砂のお城ならではの苦労もたくさんあるのです。
砂が常に天井から落ちてきたり、足の指に砂が入ったり、砂地なので植物が枯れてしまったり。
子どもは全然気にしていませんが、王様たちは話が別です。
勝手に来たのに、わがままばかり。
女の子は「砂だからしょうがないよ」と言います。
子どもたちも、
「砂なんだから当たり前じゃん」
と言います。
この子どもの方が分別があるという、逆転現象もまた面白いところです。
砂のお城ならではの最後の場面
さて、そんな砂のお城の最後は、なんだかとても現実的。
砂のお城あるあるで終わります。
浜辺で砂のお城を作ったことがある人なら、みんな経験したであろう事件。
ここで、改めてどんなにすごくても、砂のお城であったことを再認識させられるのです。
夢のような時間から、最後に浜辺へと戻ってきて終わるのも、この絵本の素敵なところだと思います。
二言まとめ
現実離れした砂のお城の完成度と、そこでの王族のような時間がとても楽しい。
砂で出来ていることへのリアルさと、非現実感のバランスが面白い絵本です。
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