文・絵:にしかわおさむ 出版:教育画劇
お父さんと一緒に、森の中をお散歩です。
森の中を歩いていると、色々な動物と出会います。
どれも、ちょっと困るけど、クスっと笑ってしまう出会いばかり。
なんとも気持ちが、ほんわかする絵本です。
あらすじ
今日はとてもいい天気。
男の子は、お父さんと森の向こうまで、散歩に出かけました。
ポケットにキャラメルを入れて。
親子が森に入ろうとすると、大きなイヌが出てきて、とおせんぼをしました。
男の子は怖くて、お父さんのズボンにつかまります。
でも、お父さんが「ちんちん!」と言うと、イヌは大人しくちんちんのポーズ。
親子はそばを通り抜けました。
すると、イヌがちんちんをしたご褒美を欲しがったので、男の子はキャラメルを一つあげました。
イヌは喜び、ありがとうと、いじわるをしてごめんねを言いました。
森には入り、歩いていくと、道の真ん中にスカンクが座っていました。
お父さんは回り道して行くことにし、草むらの中をそろそろと進んでいきました。
草むらの中から、そっとスカンクの様子を見ると、どうやらいたずらをしようとしてるみたい。
そこへウサギが駆けてきたとたん・・・。
「ぷう」をしました。
あまりの臭さに気絶するウサギ。
それを見て、かわいそうだという男の子に、お父さんは「2人で叱ってみようか」と言いました。
そこで、声をそろえて「こらーっ!」と、叫び出ていくと、スカンクはびっくり。
ウサギも驚いて飛び起きました。
スカンクがあまりに泣くので、慰めた後、男の子はスカンクとウサギにキャラメルを一つずつあげました。
森の道をどんどん歩いていくと、道の真ん中でクマが大きなホットケーキを焼いていました。
親子を見つけたクマは、怖い顔で言いました・・・。
『おとうさんとさんぽ』の素敵なところ
- 動物たちとへのほんわか心温まる解決策
- 子どもが言いたくなる言葉たち
- お父さんと男の子の優しいやり取り
動物たちとへのほんわか心温まる解決策
この絵本の楽しいところは、道をふさぐ動物たちとのやり取りです。
とおせんぼしたり、いたずらをしようと罠をしかけていたり、ホットケーキを焼いていたり・・・。
一筋縄では森を通り抜けさせてもらえません。
でも、そのどれもがなんだかほんわかしていて、とっても平和。
「ちんちん!」と言われると、「ぼくそれを言われると弱いなあ」とポーズをとってしまうイヌ。
「こらーっ!」と叱られると、泣いてしまうスカンク。
と、いったように解決法も、言われた方の反応も、なんだかほんわかしています。
さらに、別れ際、男の子がキャラメルをあげると、みんないじわるしたことなどを謝ってくれるのです。
そんな素直過ぎる動物たちも、この絵本の素敵なところです。
子どもが言いたくなる言葉たち
そして、この「ちんちん!」と「こらーっ!」という言葉も、この絵本のとても楽しいところです。
この二つの言葉を言われたら、子どもが喜ばないはずがありません。
「ちんちん!」は、無条件で大爆笑です。
「ちんちんだって!」
「ちんちんって言った!」
「イヌもちんちんしてる!」
と、ここぞとばかりに大盛り上がり。
「ちんちん」は殿堂入りのパワーワード過ぎます。
でも、「こらーっ!」も負けてはいません。
言われるのは嫌だけど、その分、言うのは大好きです。
親子と一緒に、
「こらーっ!」
と、大合唱が巻き起こります。
きっと、言わずにはいられないのでしょう。
もちろん顔は笑顔です。
こうして、親子と同じ言葉を話し、楽しめるのも素敵なところです。
お父さんと男の子の優しいやり取り
さて、動物たちとのやり取りもほんわかして素敵ですが、お父さんと男の子のやり取りも、とっても素敵。
素朴で優しいやり取りが、本当の親子の会話を聞いているみたいなのです。
子どもが、
「お父さん、ぼくと散歩楽しい?」
と聞けば、
「楽しいよ、今日は森の向こうまで行ってみよう」
と答えます。
「お父さん、イヌ怖くなかった?」
と聞くと、
「ううん、ちっとも」
と言うので、
「ぼくも!」
と返します。
こんな風に、男の子の言葉をしっかり受け止めて、返される言葉がとても心地よいのです。
「こんな風に散歩したいな」
「こんな風に話を聞いてもらいたいな」
という、気持ちにさせてくれるのも、この絵本の素敵なところです。
二言まとめ
色々なとおせんぼに会うけれど、どれもほんわか解決していく散歩道がとっても楽しい。
読めば、「お父さんとのんびり散歩に行きたいな~」と思う絵本です。
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