おいしいものたべたら(2歳~)

絵本

作・絵:みやもとただお 出版:すずき出版

おいしいものを食べる動物たち。

でも、あまりにおいしすぎて予想外の反応が・・・。

独特過ぎる表現に笑ってしまう絵本です。

あらすじ

動物たちがおいしいものを見つけたみたいです。

ウサギが見つけたのはキャベツ。

おいしいキャベツを食べたら・・・

耳がブルルンブルルン回っちゃいました。

ウマが見つけたのはニンジン。

おいしい人参を食べたら・・・

歯がガチガチなっちゃいました。

ブタが見つけたのはトウモロコシ。

おいしいトウモロコシを食べたら・・・

お尻がプリプリ揺れちゃいました。

クマが見つけたのはハチミツ。

おいしいハチミツを食べたら・・・

巣からハチが飛び出してきました。

みんな大急ぎで逃げました。

改めて、クマがリンゴを見つけました。

おいしいリンゴを食べたら・・・。

動物たちは、まだまだおいしいものを見つけたみたい。

サルに、カエルに、ヘビ、みんなおいしいものを食べたらどうなってしまうのでしょう?

『おいしいものたべたら』の素敵なところ

  • 予想の斜め上をいく動物たちのおいしさ表現
  • 安心できる繰り返しと楽しい変化球
  • みんなの心が一つになる最後の余韻

予想の斜め上をいく動物たちのおいしさ表現

この絵本のなによりおもしろいところは、動物たちの予想の斜め上を行く反応でしょう。

普通なら、おいしいものを食べたらにっこりと笑ったり、ほっぺたが落ちたりすることでしょう。

ですが、この絵本の動物たちは一味違います。

しょっぱなから、ウサギが耳をブルルンと回しだし、度肝を抜かれるのです。

この時点で「この絵本は思ってたのと違うぞ」と感づきます。

そして次のウマが歯をガチガチならしたところで、確信に変わります。

「こういうタイプの絵本だ!」と。

最初は「えー!?」と驚いていた子たちも、流れがわかるとワクワクが止まらず、動物の反応を見るたび大笑い。

大きい子たちには、楽しい予想外が広がっています。

反対に、小さい子たちは、動物のまねをするのがとても楽しく、一緒に歯をガチガチさせて楽しみます。

ただ、お尻だけは共通で、大きい子も小さい子も大爆笑。

不変的なお尻の強さを感じざるを得ないでしょう。

安心できる繰り返しと楽しい変化球

また、このおもしろさは、繰り返しだからこそのおもしろさでもあります。

「次はどんな反応が来るだろう?」とワクワクし、しっかり予想外の反応が返ってくる繰り返し。

この暗黙のルールがあるから、安心してワクワクすることができます。

けれど、それだけだと飽きてしまうのも、繰り返しの弱点。

この絵本では、そこに変化球を入れることで、最後まで楽しく集中して見ることができるようになっています。

それが、ハチミツの場面。

クマが反応すると確信している子どもたちですが、まさかのハチが飛び出し大混乱。

大喜利だと思っていたら、ドタバタ劇になるので、子どもたちもビックリです。

子どもたちの心は、大急ぎで逃げる動物たちの心ときれいにリンクしていることでしょう。

こうして一度仕切り直すことで、子どもたちが心機一転、動物たちの反応を楽しむことができるのです。

この、最後まで楽しく見られる変化球も、この絵本のとても素敵でおもしろいところです。

みんなの心が一つになる最後の余韻

さて、そんな繰り返しの最後には、ちょっとした事件が待っています。

ヘビがある食べ物を食べるのです。

その食べ物が、だいたい事件が起きる定番の食べ物。

これには子どもたちも、「絶対○○になるよ!」とみんな止めます・・・が、見事に予想通りの結果に。

「ほら、やっぱり!」と呆れつつ、最後のページで、ヘビを慌てて追いかける動物たちの姿で終わります。

文章はありませんがきっと「まってー!」と口々に言っていることでしょう。

同時に、子どもたちも、

「まってー!」

「はやく捕まえないと!」

と、口々に言って終わります。

この、最後の最後に、ヘビをなんとかしようという一体感の余韻で終わるのが、この絵本の楽しいところ。

完全に、動物たちと子どもたちの声が重なり合っていました。

これはお約束だからこその、一体感と言えるでしょう。

こうして「あー・・・」という、なんとも言えない感じで終わり、ヘビのその後をあれこれ想像する余韻も、この絵本の素敵なところなのです。

二言まとめ

おいしいものを食べた動物たちの、予想の遥か斜め上をいく反応に笑いが止まらない。

大きい子から小さい子まで、笑ったり真似したり楽しみが尽きない絵本です。

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